みなさんこんにちは。
「馬車の第五輪」です。
1次試験を受けられた方は、大変お疲れ様でした。二日間の激闘後のビール、さぞ美味しかったことでしょう。
戦略的に受けなかった方も含め、いよいよ2次本番モード突入ですね。
合格への最終コーナーに差し掛かり、過去問トライアル、各受験校の模試、事例別の演習等々、やるべきことが目白押しの超絶集中期間になると思います。
それぞれの課題克服を中心に、最後まで走り抜けてください!
今日は皆さんがそのような超多忙な状況であることを承知で、あえて関連書籍の紹介をしてみたいと思います。
「関連書籍?今さらそれどころじゃねーよ!!」という怒号がこだまして聞こえてきそうですが、どうか一旦落ち着いてください。
2次試験は表層的な知識の詰め込みだけではなかなか太刀打ちできない、というのが個人的な感想です。
知識の量は多くなくとも、いかに根本的な知識をハラ落ちさせて、内面化した知識を与件と関連させて解答することで初めて得点できることが少なくありません。
その意味で、2次試験に関連して根本的な知識、解説がなされ「そういうことだったのか」と感じる書籍に出会うことは、2次対応力が高まることが期待できます。
もし、気分転換が必要な方や学習が煮詰まってる感がある方向けに、以下、私にとっての「ホンシツ本」をご紹介してみたいと思います。あえて、すべての事例に共通する戦略論テーマのものに絞りました。
前述のとおり時間がない時期ですので、ピンとくるものだけ参考までに読んでみてください。
(8年も2次試験を受けていたので読んだ関連書籍はかなり多いですが、とくに2次に直結したと思う代表作のみ紹介します)
経営戦略全史
三谷宏治 著 ディスカバー・トゥウェンティワン
2013年発刊の作品で、ビジネス書大賞を受賞したベストセラーです。根拠はありませんが今も続くブームの「〇〇全史」の先駈けではないかという気がしています(大ベストセラーのサピエンス全史より前の発行ですし)。
1次知識として学んだ経営戦略論が、時系列に沿って、かつ提唱者の人物像にも焦点を当る、いわゆる紀伝体(?)で叙述されています。まさしく経営戦略論の『史記』といえる作品だと思います。
一般の読者なら「ふーん、勉強になるね」という程度の感想かもしれませんが、1次試験の勉強を終えた皆さんからすると、
「さすがアンゾフ!」
「いよっ、チャンドラー、待ってました!!」
「出た〜、PPM分析〜!!!」
というようにかなり熱の入った読み方ができますし、物語として経営戦略の変遷の流れを掴むことができると思います。
経営戦略の大き流れは、ポーターを中心とする「ポジショニング派」(外部環境がダイジ。儲かる市場で儲かる立場を占めれば勝てる)とバーニーに代表する「ケイパビリティ派」(内部環境がダイジ。自社の強みがあるところで戦えれば勝てる)の論争の歴史である、という言説・構成は目から鱗でした。
戦略論に自信が持てるようになる一冊だと思います。
(同じ著者の「ビジネスモデル全史」も役立ちましたが、「経営戦略全史」程の感動は得られませんでした)
競争戦略論
青島矢一・加藤俊彦 著 東洋経済新報社
戦略論の全体像を理解するのに非常に役に立ちました。
経営戦略を「内ー外」「要因ープロセス」の2軸で分割する枠組を採用しており、それぞれ象限ごとに「ポジショニング・アプローチ」(外・要因)、「ゲーム・アプローチ」(外・プロセス)「資源アプローチ」(内・要因)、「学習アプローチ」(内・プロセス)と分類しています。
それぞれの分類が過去出題された事例企業の戦略と合致していることも多く、経営戦略の本質的な理解・ハラ落ちのために非常に効果のあった一冊だと思います。
全体戦略と競争戦略の違いや、ポートフォリオの考え方など、各トピックスも非常に参考になりました。
私にとって、事例Ⅰの過去問分析の際の座右の書です。
ストーリーとしての競争戦略〜優れた戦略の条件〜
楠木建 著 東洋経済新報社
改めて確認してみると、これも2011年のビジネス書大賞受賞作品でした。ミーハーですみません。
利益創出の最終理論 WTPーC=P
WTP:Willingnes To Pay (顧客が支払いたいと思う水準)
C :Cost(何らかの費用)
P :利益
として、利益創出の最終的な理屈は「競合よりも顧客が価値を認める製品・サービスを提供できるか」あるいは「競合よりも低いコストで提供できるか」のいずれかであると喝破し、サッカーに例えて利益創出のためにはコストに軸足を置いたシュートかWTPに軸足を置いたシュートが必要であると説きます。
そして、そのシュートに至るストーリーがきちんと描かれているかが重要である、と、実際の事例企業の研究をもとに「ストーリー」を軸に論じれられています。
Ⅰ〜Ⅳどの事例でも経営戦略は重要な要素ですが、特に事例Ⅰは事例のストーリーが読み取れるかが勝負であり、その意味で経営戦略の本質的な部分が学べる書籍だと思います。
その他、岩崎直人先生の「経営をしっかり理解する」(事例Ⅰ)や岩崎邦彦先生の「小が大を超えるマーケティングの法則」「スモールビジネスマーケティング」(事例Ⅱ)は事例に直結する部分が多く直接的に非常に参考になりましたが、AASの先生方はじめ多くの方が説明されているのでここでは割愛します。
無事合格できた今も、これらの読書体験は診断士になるにあたって財産になっていると振り返っています。
くどいようですが、時間が限られる中ですので、今の自分の状況に鑑み「ピンときた!」と思われる方、ぜひ読んでみてください。