はじめに
事例4の予想問題を作ってみました。
よかったら解いてみてください。
問題
正味現在価値を計算し、投資を行うべきか判断せよ。
小数点第1位を四捨五入。(単位:万円)
D社は古くなってきた設備(旧設備)を新しい設備(新設備)に取り換えるか否かを検討している。
旧設備は5年前に100百万円(耐用年数10年、残存価額なし、定額法により償却)で購入したものであり、取替時点での処分価格は20百万円、5年後の処分価格は10百万円である。なお取替に伴う売却損の法人税に及ぼす影響は初年度末に計上する。
新設備は200百万円(耐用年数5年、残存価額なし、定額法により償却)で、5年後の処分価格は50百万円の予定である。
新設備は、旧設備と比較して現金支出(操業費等)を4000万円削減する。
法人税は30%。CFは年度末に生じる。D社は黒字企業である。
設備投資は、初年度の期首に行う。資本コストは6%であり、以下の原価係数を用いる。
複利現価係数
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 |
0.94 | 0.89 | 0.84 | 0.79 | 0.75 |
解答
NPV=523万円
NPVは正で投資すべき。
解説
情報整理
「古くなってきた設備(旧設備)を新しい設備(新設備)に取り換えるか否かを検討」⇒取替投資
設備投資によって、増加するCF⇒新設備は、現設備と比較して現金支出(操業費等)を4000万円削減する
旧設備について
「旧設備は5年前に100百万円(耐用年数10年、残存価額なし、定額法により償却)で購入したもの」
⇒減価償却費:100/10=10百万円(1000万円)
⇒初年度期首の売却損:3000万円(簿価5000万円を2000万円で売却)
⇒5年度期末の売却益:1000万円(残存価額なし、処分価格10百万円)
新設備について
「新設備は200百万円(耐用年数5年、残存価額なし、定額法により償却)」
⇒減価償却費:200/5=40百万円(4000万円)
⇒5年度期末の売却益:5000万円(残存価額なし、処分価格50百万円)
投資で増減するCFの計算
現金収入額、現金支出額、減価償却費の処理
“取替投資では、取替によって増加するCFを計算します”
現金収入額:変化なし
現金支出額:「現金支出(操業費等)を4000万円削減する」4000万円の減少
減価償却費:旧設備1000万円、新設備4000万円 よって、3000万円増加
⇒増加するCF(1年~5年)=(現金収入増加額0-現金支出増加額△4000-減価償却費増加額3000)x(1-税率0.3)+減価償却費増加額3000+運転資本増加額0(記載なし)=3700万円
設備売却の処理(売却収入、税効果)
旧設備の新設備導入に伴う売却・処分について
初年度期首のCF=新設備の投資額△200百万円(20000万円)+旧設備の売却収入20百万円(2000万円)=△18000万円
初年度期末の税効果=旧設備の売却損3000万円x税率0.3=900万円
*「なお取替に伴う売却損の法人税に及ぼす影響は初年度末に計上する」⇒初年度期末に税効果が生じる。
*売却損の場合には、税効果が節税のためCFはプラスになる。
売却益の場合には、利益に対し税金が発生するためCFはマイナスになる。
5年目の旧設備・新設備売却について
5年目の売却収入=新設備の売却収入50百万円-旧設備の売却収入10百万円=40百万円(4000万円)
5年目売却の税効果=(新設備売却益5000万円―旧設備売却益1000万円)x税率0.3=1200万円
よって、売却益なのでCFはマイナスになり、△1200万円。
運転資本は記載なし
NPVの計算、結論
NPV=△18000+(3700+900)x0.94+3700x(0.89+0.84+0.79)+(3700+4000-1200)x0.75
=523万円>0
NPVは正で投資すべき。
おわりに
残り1カ月、体調に気を付けて頑張ってください。
(計算間違いとかあったらごめんなさい)