受けたてホヤホヤ、実務補習のリアル(くろのゆ)

くろのゆです。本日もお読みいただき、ありがとうございます。
ちょうど先週、実務補習の9月の5日間コース(9/13-14, 22-24)を受講していましたので、今日はその速報をお届けしたいと思います。二次の対策に大わらわの方も多いでしょうが、少し先にもぜひ意識して取り組むと、また新たな気持ちで机に向かえるのではないでしょうか。

目次

申込~前日まで

診断協会から年度中の実務補習日程が公開され、その際に7・8・9月の開講分は5月中旬の1週間が期限となっています。例年東京の開講分はすぐ埋まってしまうので、募集開始と同時に申請しました。その後、実務補習の一連の流れを記載したテキストや経営診断システム(MCSS)の案内など、資料一式が協会から郵送されてきます。

そして開始1週間前ごろまでに、指導員を務める先輩診断士の方からメンバーにメールが届きます。大まかなスケジュールや初日の集合場所が案内され、ファイル等の共有に使うストレージの連絡もありました。私たちの班ではGoogle Driveを使いましたが、他の班ではDropBoxを使うなど、指導員の方の好みで決まるようです。

さらに2日ほど前に、初日に使う部屋番号や備品の使い方などの細かい案内があります。私たちの班はほか10班ほどと同じ都内の貸会議室でしたが、指導員によっては自分の自宅兼事務所を作業場として指定するケースもあるそうです(毎日その日の工程が終わってから飲んでいたとかいう噂)。

1日目(金曜日)

初日はまず都内の貸会議室に集まって顔合わせやインタビューの準備を午前中に行い、午後は診断先に赴いてもっぱらインタビューに時間を割く計画になっています。

朝9時からスタートするので、朝7時ごろ起床し、諸々準備を整えて会場へ向かいました。ちなみにこの日は有給取得して参加するため前日深夜3時まで仕事を片付けてからのスタートだったので正直かなりヘロヘロでした。普段リモートワークが多いこともあって、この日が一番体力的にしんどかったです。

顔合わせでは指導員と、参加するほか5名のメンバーと名刺交換から始まります。IT、通信、コンテンツ関係、機械メーカー、国家公務員とメンバーの所属も様々で、だれでも聞いたことのある会社or組織の方ばかりでした。指導員やメンバーから仕事の話を伺うことも多々ありましたが、皆さん本当にユニークなキャリアを積まれていて、5日間飽きなかったです。

顔合わせが済むと、指導員から診断先企業のブリーフィングがあります。診断先は都内に複数店舗を展開する飲食店でした。簡単に創業経緯や現在の大まかな経営課題を把握した後、担当する分野の役割分担があります。インタビューの進行や報告書の取りまとめ役を担う班長は診断先の経営戦略全般を担う重責あるポジションで、過去実務補習を受けられた経験者の方が引き受けてくださいました。

私は志願してマーケティングや顧客管理のパートを担当することになりました。事例Ⅱが比較的得意だったということから深く考えずに選びましたが、ブランディングや営業に課題の多い会社でページ数がかさんだり、メニュー開発・店舗運営・新店舗構想を扱う章と平仄を合わせなければいけないため、どの内容をどの章で書くかなどの調整が大変だったりしました。ちなみに一人黙々と作業をしたい人は財務を志願するのがおすすめです。

分担が決まったら、事前の共有資料を読み込んだり、軽く外部環境の調べ物をしたりして各自で診断先にインタビューしたい内容を出し合います。インタビュー時間は長くて2時間と限られますので、有意義なインタビューになるように多忙な経営者に何を聞くかを班で話し合い、午前中はかなりタイトに進行しました。

お昼ごろに会議室を出て、昼食を診断先の店舗でとりました。昼食の間も、同卓のメンバーとオペレーションを観察したり、メニューの感想を言い合ったりして、緊張感があります。その後、運営企業の社長や店舗の運営責任者に、各自の分担ごとに聞きたい内容をインタビューしました。なお、議事録は進んで取るようにしましょう。1日目が終わった後で共有すると貢献度が高いです。

最後に、今回訪問したのとは別の都内の店舗を希望者で見学して(メンバーによってはそこでテイクアウトのメニューを買って)解散となりました。

2日目(土曜日)

2日目は1日にわたって貸会議室での作業です。前半は前日のインタビュー結果を取りまとめて、SWOT分析やクロスSWOTでの経営診断を協議し、午後にその内容をもとに、各章での現状分析・課題・打ち手をそれぞれ整理しディスカッションします。

診断先についてはインタビューや事前資料を通じて経営上の問題点が多数見えてきていたので、現状分析や課題まではあまり時間を要さずに整理ができました。他方、課題が多すぎて打ち手の抜け漏れが発生する、あるいは打ち手にバラエティがありすぎ、優先度をつけるのが大変などといった別の困りごともありました。

とはいえ、同日中に報告書の骨子部分を皆で完成させることができ、あとは3日までの個人作業と、平日のオンラインミーティングで進めれば大丈夫だろうという目途が立ったのはかなりスムーズな進行だったと思います。

ちなみに他の班では体調を崩された方がオンラインで打ち合わせに参加しているようでした。作業日は数十人が一堂に会することになりますので、今後受けられる方は体調管理には十分気をつけるようにしましょう

2~3日目の間

この間は各自割り当てられたパートを詰めていく作業を行います。また、初日のインタビュー時に聞けなかったことを追加質問として出し合い、指導員の方が確認してその結果を共有してくださったので、それを踏まえて診断報告書を磨き上げていきました。

そして木曜の夜に一度オンライン会議で全体の進捗を共有し合い、そこで指導員の方からフィードバックを受けたりしつつ、平日中に書き進めてきました。

3日目(日曜日)

3日目も2日目同様に、貸会議室で終日作業の日です。この日時点までの内容を各自かいつまんで報告し、それぞれフィードバックし合ったり、指導員の方からコメント受けたりしながら適宜ブラシュアップする形で進めていきました。

ちなみに、指導員の方のコメントで印象に残っているものをいくつか紹介します。
経営用語の説明はしすぎなくてもいいよ」「厳しい現実を突きつけすぎても仕方ない。投資回収できるかどうかの計算も大事だけど、未来に希望が持てる展開にしたほうがいいんじゃない?」

経営学的なフレームワークで与件を整理したり、事例Ⅳで泣きそうになりながらNPVを計算したりしてきた受験生はついその知識をひけらかしてしまいがちですが、聞き手である経営者がそこにいるということを忘れてはいけないと思わされました。

それはさておき、4日目は報告書の本文を事実上確定させる日になりますので、3日目までに書く内容が決まっていないとかなり厳しいものになります。が、この日に指導員の方から厳しいフィードバックを受け、徹夜で書き直したという班も過去あったようです。

指導員の方の指導方針は千差万別で、私たちの班の指導員は細かい中身に踏み込まず診断士の心得を伝達してくれるスタイルでしたが、別の班では指導員の方が施策1つ1つを精査して詳細にコメントしていました。

その日の終わりに各自のパートを再度共有し、この日は解散になりました。

4日目(月曜日)

この日も終日貸会議室での作業です。4日目が2日目と並ぶ天王山でした。実際に5日目には報告書の作業はほとんどできないため、この日に報告書を仕上げて印刷製本まで済ませておかないといけないためです。

事前に段落構成や表記のルールなどは決まっていたものの、細かい記載ぶり(「など」と書くか「等」と書くかの表記ゆれ対応、章番号をどうやってつけるかなど)は各自で違いが出やすく、かなりのブレが出ていました。ストレージに共有すると書式がずれることもあるため、班長の方がローカルで校正作業をされていました。その間、残りのメンバーでExcel様式の提出物(診断報告書とは別の報告書)を分担して作っていました。

ちなみに業種によっては作らなくてよい様式などもあるので、指導員の方とあらかじめ握っておくことが重要です。また、報告書の表紙には載せなければいけない必須項目を記載するとともに、デザインは各班でそれぞれ作ることになっています。私たちの班ではあるメンバーが進んで引き受けてくれましたが、できれば事前に担当を決めておいたほうが円滑です。

この日の最後に、表紙と目次、本文をマージしてページ番号などの調整を行う最終化作業を私が担当しました。印刷データをキンコーズに持ち込んで製本しないといけなかったのですが、会場の締め時間の10分前に最終化に取り掛かったため、かなりヒヤヒヤしていました。なんとか間に合い、指導員の方とメンバー数人で印刷所で製本作業をし、18時半ごろに完成となりました。

結局、診断報告書は120ページというボリュームになり、この6人で力を結集して作ったからこその労作になりました。

5日目(火曜日)

この日は報告書の作成・印刷製本も済んでいるので、かなりゆったりした雰囲気でした。午前中に15日分の実務補修を終わらせた人の修了式があり、私たちの班からは一人出席していました。この日は7月からで15日を終わらせた方なども結構いたようで、3回にわたって修了式が開催されていました。なお毎回数名がその場で指名されてスピーチをするそうなので、一応心の準備が必要だそうです。

班によっては午後の報告会に向けたプレゼン資料作成に充てることもあるようですが、私たちの班の指導員の方はあえて別の資料を準備しなくてもよいというスタンスだったため、各自自分のパートを見返して限られた時間でどう話すかを検討しながら過ごしました。

お昼過ぎに電車で診断先の運営する店舗に向かい、そこでランチをいただいた後、社長同席のもと店舗内で報告会を実施しました。社長に急な要件が入り、当初予定よりも短縮になったのですが、その時点で自分のマーケティングパートで時間を使いすぎてしまっており、後半の方の時間を奪ってしまったのは反省点でした。。とはいえ、社長が営業を重視する方だったので、自分のパートをかなり熱心に聞いてくださっていたのが印象的でした。

終わった後、指導員の方と私、もう1名のメンバーと3人でカフェで時間つぶしがてら雑談してから、反省会という名の懇親会に向かいました(家が近いメンバーの方は一回帰宅してからやってきていました)。5日間とはいえ濃い時間を過ごしたメンバーとの飲み会はとても盛り上がりました。さすがに期間中は断酒していたので、お酒がとてもおいしかったのを覚えています。

振り返って

やっぱり大変。ただ覚悟していたほどではない

実務補習が大変かどうかは、回によって全く異なる様です。ただ、5日間のうち4日目には提出物の作成が完了しないといけないスケジュール上、工程の前半に負荷がかかる「トップヘビー」になるのは共通です。特に事実上2日目に大まかに記述内容が決まっていないと、かなりピンチな見通しです。逆にそこが済めば、あとは中身を綺麗にしていく作業なので、前半頑張っておいたほうがよいです。

とはいえ、毎日の作業は、2~3日目の間の各自執筆の時間を除けば定時(9時~17時)でほぼ終わっていました。貸会議室が閉まってから近くの喫茶店で打ち合わせが続いた・書き直しが入って徹夜したなど、実務補習でよく聞かれるホラーな状況にはならずに済みました。このあたりは指導員の入れ込み具合や、診断先企業の現状、班ごとの進捗で様々だと思います。

バックグラウンドも考え方も全く違う人たちと仲良くなれる刺激的なチャンス

指導員の方はかなり話し好きな方で、ランチや移動時間だけでなく、作業中にもご自身の診断経験のエピソードを披露してくださったり、独立するまでの経緯を詳しく話してくださったりと、5日間で診断士のリアルな働き方・価値の出し方への理解が深まりました。私はゆかりのある複数の協会に登録しようと思っているのでその相談をしたところ、指導員の方も2~3か所の協会で活動されていたので、そこでの経験を教えていただき、解像度が上がるとともにモチベーションも高まりました。

最後の反省会(という名の懇親会)では、各自この実務補習の感想を言い合うだけでなく、診断士登録後のキャリアについても語り合いました。社内の起業制度でベンチャーの立ち上げを狙う人あり、老後を見据えて独立を試みる人あり、同じ診断士でも多様な考え方に触れることができました。また近況報告に集まろうと計画しています。

ここまでお読みくださりありがとうございました!

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