ここにきて、再度事例Ⅳ対策をしたいと思います。私は事例Ⅳを制するものが2次試験を制すると思っているので、これまで解説できていなかった戦略的意思決定会計について解説します。
そもそも戦略的意思決定会計とは、「多くの場合、設備投資を行うか否かを判断する」ことが目的の管理会計です。今回はその中でもよく問われる正味現在価値法(NPV)について解説します。NPVは捨て問にしてもいいという方やそれで合格した方もいると思いますが、多年度生を中心にできる限りできるようになっておきたいところです。
ポイントは
①時系列の一覧表を必ず作る(期首と期末に注意)、見える化、情報の整理力が問われていると考える
※特に設備の売却価格、売却に伴う損益、運転資本の増減と回収に漏れが無いように
②税金の計算は年に1回期末のみ、ただしキャッシュは月初もある
(取り替え時の売却価格、運転資本の増減は月初)。
③プロジェクト終了時の設備資産の価値と在庫(運転資本)の価値は売却したもの(機会原価)として扱う
です。
それぞれ説明していく前にFCFの求め方について、参考書には下記が記載されているのですが、仕事上で会計に全く触れていない私みたいな人間には意味がわかりませんでした。
FCF=営業利益×(1-税率)+減価償却ーΔ運転資本ー投資額(+非現金支出費用(節税効果))
この部分の意味について、課税所得を計算して、税金を正しく計算してP/L上での増減を計算する。そこにB/S上での増減を加味することで2つの案のどっちが現在価値のCFが大きいの?(経済的価値が大きいの?)を検討すると考えることで私の中ではなるほどと合点がいきました。CF計算では今自分が何をしているのか?わからなくなりがちだし、応用問題が出てくると公式だけの対応だとついていけなくなります。今はP/L上の計算していると思うと迷わなくなりますし、ここはB/S上の増減だけで課税所得には関係ないなどと頭で理解できると思考がまとまります。
そうなってくるとあとは慣れるまでとことん問題を解くことが必要です。①ー③を再掲しますが、
①時系列の一覧表を必ず作る(期首と期末に注意)、見える化、情報の整理力が問われていると考える
※特に設備の売却価格、売却に伴う損益、運転資本の増減と回収に漏れが無いように
※設備に残存価値が残る場合の足し戻し要注意!
②税金の計算は年に1回期末のみ、ただしキャッシュは月初(取り替え時の売却価格、運転資本の増減は月初)。
③プロジェクト終了時の設備資産の価値と在庫(運転資本)の価値は売却したもの(機会原価)として扱う
NPVだから難しい!となりがちですが、設備投資したら、P/Lの増減を見て税金計算(節税効果)して、営業CFを計算。その後、B/S上で増減を見ます。P/Lで考えると言われると設備投資の減価償却は絶対忘れません。B/S上の増減とは棚卸資産の増加によるCFの減少とか、売上債権の増減、プロジェクト終了時の設備残存価値の追加などです。
これをいつ起きることなのか、月末・月初を明確にしながら明らかにしていきます。P/Lに関係する税金は期末ですので、それは意識しましょう。一方でB/Sに関係することは期末以外でも起こりえます。
③のプロジェクト終了時の設備簿価をどう考えるのかについては、そもそも出題者側の意思決定会計講義ノートの著者でもあり、大塚先生も加えると書かれているのを根拠としますが、必ず残存価値を追加します。目的に立ち返って、戦略的意思決定をするために試算しているのであって、投資するの?しないの?を問われていると考えると足すのは当然ですよね。
今回は難しい部分だったのでご理解いただけるかわかりませんが、ほんの少しでもお役に立てれば幸いです。