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特別インタビュー:診断士の海外プロジェクトについて、先輩に赤裸々に語っていただきました(くろのゆ)

くろのゆです。本日もお読みくださり、ありがとうございます。

4月にこのブログ執筆を拝命しましたが、早いものでこの記事が最終回になる予定です。最後になる今回は特別編として、私の大先輩にあたる診断士のA氏に、実際のプロジェクトについて語っていただいた内容をインタビュー形式でお届けします。 いよいよ各予備校での診断士講座も本格化するタイミング、試験を受けるか受けまいか迷っている方の背中を少しでも押すきっかけになれば幸いです。

目次

A氏のプロフィール

  • 金融機関を経て、現在は民間企業で経営コンサルティング業に従事
  • 特にJICA(国際協力機構)の公的資金スキームを活用した中小企業の海外進出支援を豊富に経験(ミャンマー、フィリピン、モンゴル、インドネシア、ベトナム、ブータン、マレーシアなどアジアを中心に活動し、累計の海外出張回数は100回を超える
  • 2002年4月に診断士登録(現在の試験制度の第1期合格生)

インタビュー

─まず、海外でのコンサルティング業務に関心を持たれたきっかけや、手がけるようになった契機を教えてください。

もともと海外での仕事に関心はありましたが、本格的に関与するようになったのは、JICAの中小企業支援事業が始まった2014年のことです。

当時、仕事で付き合いのあった地方銀行が地元の中小企業の海外進出を支援していて、その進出先国がミャンマーでした。私の所属先がミャンマーに拠点を持っていたこと、私が中小企業診断士の資格を持っていたことから進出支援のプロジェクトに参画し、それ以来さまざまな国・業種の海外展開を支援しています。

─海外プロジェクトでは、コンサルタントとしての経験や知見だけでなく、語学力も必要ですよね。どのように学ばれたのでしょうか?

TOEICを活用しました。関連の問題集は合計30冊以上利用し、社内外で機会があるたびに受験するなど、集中的に英語を勉強しました。

─ これまでの経験した海外プロジェクトの中で、特に思い出深い案件は何でしょうか?

モンゴルで、日本のメーカーによる鉄道インフラ用機器の技術を実証するプロジェクトが特に思い出に残っています。

モンゴルでは、長距離鉄道のレールに急カーブや高低差があると、その上を走る鉄道の重みで力が一点に加わりやすく、レールの軌間が徐々に広がってしまい脱線のリスクが高まるという事態が頻発していました。安全運行を確保するためには、現場で作業員が頻繁に点検とメンテナンスを行わなければならなかったのです。内陸国のモンゴルは気温差が非常に大きく、夏は40℃、冬はマイナス20℃にも達し、屋外での鉄道レール保全作業は大きな負担となっていました。

日本の技術でこの問題を解決するため、JICAによる中小企業の海外展開支援の事業が動き出しました。鉄道の枕木とレールをつなぐ「締結器」と呼ばれる機材を製造している国内の中小企業が手を上げ、現地の鉄道路線で同社の締結器を使ってもらうことで、その効果を実証しようというものでした。

私はコンサルタントとして、モンゴル政府との交渉時のサポート、課題の整理・解決策の提案、事業報告書の作成など、支援先の中小企業や、日本・モンゴル両政府と密に連携しました。

─ モンゴルでのエピソードを、いくつか教えてもらえますか?

まず、コンサルタントだからといって大所高所から物を言うのではなく、支援先の中小企業の一員としてプロジェクトに現場感をもって関与しました。3年間のプロジェクト期間でモンゴルに合計8回訪問し、実際にマイナス10℃に達する真冬の現場でレールの組み立て作業に立ち会うなど、得がたい経験を積めました。

また、現地の政府関係者との交渉も思い出深い経験です。プロジェクトを通じて日本企業の作る締結器の安全性や強度はわかってもらえたものの、鉄道インフラは長期的に修繕計画を立てるため、すぐ新しいベンダーの製品が採用されることは難しいのです。そこで鉄道を管轄する大臣に面談機会を設けてもらい、日本の技術の優位性を説明したり、モンゴルの事情に応じた提案をしたりと、タフな交渉を重ねました。1国の大臣と直接ディスカッションする機会は非常に貴重だったと思います。

―伺っていると、非常にエキサイティングであることが伝わってきます。海外プロジェクトの魅力や、向いている人の特徴を教えてください。

海外、特に新興国では規制が追いついていないことから、問題解決のために日本では規制上できないようなことでも提案・提言できます。このダイナミックな取り組みに関われるのが、海外プロジェクトの魅力です。

中小企業の海外ビジネス展開にはスピード感があります。社長や役員など経営者が機動的に意思決定をすることが多いです。大企業では上長の許可が下りないと現場が動けないことが少なくありませんが、中小企業の場合は現地出張にも意思決定者が自ら渡航するので、その場で方向性を修正し、次の動きを決めて進んでいきます。

このように海外ビジネスは自由度が高く機動的に進んでいく分、予定通りに運ばないのが当たり前です。ですから一度失敗したら終わりにしてしまうのではなく、次にどうしようか切り替えて考えられる人胆力のあるタフな人柔軟に発想を変えて動ける人精密さよりもスピードを重視する人が向いていると思います。

─ 診断士の資格やネットワークは海外プロジェクトでどのように役立ちましたか?

まず、中小企業診断士は「国家資格」であることは大きな強みです。この資格があることで、支援先の中小企業でも、カウンターパートになる政府関係者にも、中小企業診断士の肩書があることで安心・信頼してもらいやすかったと思います。

また、診断士の試験勉強で得た知識や考え方(フレームワーク)、各業界の成功事例も役立っています。経営理論や生産管理などの知識・用語は、多様な業界の企業を支援する際に今でも使っています。さらに二次試験の事例では複雑な状況をシンプルに整理し、実践可能な解決策を提示することが求められます。この考え方も、実際の支援現場で活かされていると思います。

─ 最後に、これから診断士試験を受ける方・関心のある方へメッセージをお願いします。

大げさかもしれませんが、診断士の資格を取ったことで、人生が変わったと思います。それまで働いていた金融業界から畑違いのコンサル業界に転職できたのも、この資格のおかげでした。実際にコンサルタントとして活動し始めてからは様々な業種の第一線で活躍する人と仕事をしたり、経営者から頼られたりする機会に恵まれています。

2次試験の回答を作成するときは、事例に登場する経営者に語り掛けるように、わかりやすく書くことを心がけましたが、この経験が今でも現場で役立っていると思います。ただ書けばいいというものではなく、自分が社長の立場になったと仮定して、「診断士からこのように解決策を提言されたら、実践してみようという感じる助言になるように、提言の順番や表現の仕方、実践した場合のメリット・留意点に気を配ると、試験の合格にも近づきますし、実際の診断士の仕事にもつながっていきます。

あとがきにかえて

いかがでしたでしょうか。海外新興国での非常にダイナミックなプロジェクト経験が少しでも伝わりましたら、これほど嬉しいことはありません。私自身も、インタビューを通じて改めて診断士という資格の持つポテンシャルを実感し、今後の活動をいろいろと模索しているところです。

この1年間を通じて、診断士の資格の魅力やメリット、勉強法などをお伝えしてまいりました。初回の記事でも「診断士は広い知識と深い洞察、そして(恐らく)少々の運も求められる、難易度の高い資格」と申し上げた通り、やはり診断士試験合格は簡単な道のりではありません。一方、それに見合うだけの刺激や面白さもある、非常に魅力的な資格だと自信をもって言えます(と言う割に、まだ診断士の肩書で本格的に活動しているわけではないのですが…)。

記事を読んでくださった読者の皆様、1年間という長きにわたりこのような発信機会を与えてくださったAAS東京の皆様、魅力的な記事を発信し続けた同期メンバーにも改めて御礼申し上げます。またいつかどこかでお会いしましょう。

ここまでお読みくださりありがとうございました!

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