おはようございます。AASの市川です。GWをすぎ、一次試験を受験される方は一次試験モードにしっかり切り替わっているかと思います。私も3回目の二次試験の年、一次試験を全科目受験しました。二次試験への切符がなかったので、必死に取り組んでいました。
その一次試験の財務で毎年のように出題されている頻出テーマにMM理論があります。その中でも毎年ほぼ同じテーマが問われています。本日は、そこについて少し書いてみたいと思います。
DCF法で企業価値は、企業価値=FCF/WACC でした。この式から、企業価値を高めるには、①分子であるFCFを増やすこと、と②分母であるWACCを下げること、の2通りの方法が導かれます。その分母のWACCについて考えるのが最適資本構成の分野になります。ここで税金がない世の中では、企業価値は変わらない、という理論がMM理論です。この結論そのものがよく問われています。
MM理論の結論
①完全資本市場(情報に偏在がなく、法人税も存在しない)の場合は、どのような資本調達をしても企業価値は変わらない。 ②負債比率が高まると、財務リスクが高まる。そのため、負債比率が高まれば自己資本コストが高まる。 ③相対的に資本コストの低い負債の導入は加重平均資本コストを下げる効果はあるが、上記②により、自己資本コストが上昇するため、加重平均資本コストを上げる効果がある。両者は相殺され、加重平均資本コストは一定。⇒最適な資本構成はない。 |
では過去問を見ていきましょう。
21年一次第15問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 B社は現在、普通株式と社債によって資金調達を行っており、それぞれの時価は以下のとおりである。 (単位:万円) 時 価 普通株式 5,000 社 債 3,000 また、投資家は現在、普通株式には13%、社債には5%の収益率を要求している。なお、税金はないものと仮定する。 (設問1) ア 9% イ 10% ウ 13% エ 18% (設問2) |
いかがでしょうか?
設問1は、加重平均だから簡単ですね。
WACC=13%×5,000÷8,000+5%×3,000÷8,000=10%
設問2は、「税金はない」とあるので、MM理論の結論を知っていれば秒殺ですね。
上記結論の③を確認しましょう。
答えは次のページになります。
次回は、税金がある世の中を想定した、MM理論の修正について書きます。
3週間後にお会いしましょう。