おはようございます。AASの市川です。
一次試験まであと1ヶ月となりました。調子はいかがでしょうか?くれぐれも体調には気をつけてください。
今日は前回の続きで、最適資本構成の分野から、一次の頻出論点の「MM理論」を見ていきましょう。
診断士一次試験ではMM理論が毎年のように出題されています。過去問を見ていますと、この分野でも出題者が問いたい論点がよく見えてきます。
ではさっそく、結論を確認しておきましょう。テキストが近くにある方は開いて確認しましょう。
MM理論の結論
①完全資本市場(情報に偏在がなく、法人税も存在しない)の場合は、どのような資本調達をしても企業価値は変わらない。 |
しかし、MM理論は現実の世の中には法人税は存在し、倒産リスクもあることから、修正されました。その内容は、
MM理論の修正 ①法人税のみ存在する場合は、負債の節税効果があるため負債を利用した方がよい (節税効果の現在価値の分) 。 ②倒産可能性を考慮すると負債が増えると倒産リスクも増える。ほどほどが良い。 |
でした。テキストが近くにある方は、見直してみましょう。
前回は、この結論について過去問を通して見ていきました。
そして、本試験ではこの理論だけでなく、計算もよく出ます。その計算は、②の法人税が存在するときの節税効果の現在価値です。式は、
節税効果の現在価値=負債額×負債利子率×実効税率÷負債利子率 |
です。
この計算も、しばらくやらないとあやふやになってしまいます。
今、あやふやの方は、つぎの過去問を見直してみましょう。
つまり、MM理論を忘れてしまったときは、一次の過去問を確認しましょう、というのが前回に引き続いての今回の結論です
22年度一次試験 第14問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 B社は全額株主資本で事業活動を行っており、営業利益の確率分布は下表のとおりで今後毎期一定である。なお、営業利益は税・利息支払前利益(EBIT)に等しいものとする。
(単位:万円)
好況(確率:0.5) 不況(確率:0.5)
営業利益(EBIT) 1,200 800
(設問1)
B社の企業価値は、完全市場の仮定のもとで1億円と評価される。このとき、B社の事業活動のリスクに対して、市場が要求する株主資本収益率として最も適切なものはどれか。
ア 8%
イ 10%
ウ 12%
工 20%
(設問2)
B社と資産内容が全く同じで、同一の事業を営むC社が存在するものとする。したがって、C社が生み出す毎期のEBITの確率分布は、B社と全く同一である。ただし、C社とB社では資本構成が異なっており、C社は5,000万円の負債を利用している。この負債の利子率は4%である。この市場において、法人税のみが存在しその実効税率が40%であるとすれば、B社の企業価値とC社の企業価値との差はどのようになるか、最も適切なものを選べ。
ア C社の企業価値はB社と変わらない。
イ C社の企業価値はB社より200万円小さい。
ウ C社の企業価値はB社より2,000万円大きい。
工 C社の企業価値はB社より5,000万円大きい。
ヒントは、上の公式です。
ではもう一問!
26年 一次試験 第15問
現在A社は、全額自己資本で資金調達しており、その時価は10,000万円である。A社は毎期600万円の営業利益をあげており、この営業利益はフリー・キャッシュフローに等しい。MM理論が成り立つものとして、下記の設問に答えよ。 (設問1) A社が利子率2%の借入を行うことによって2,000万円の自己株式を買入消却し、負債対自己資本比率を20 : 80 に変化させたとき、A社の自己資本利益率は何%になるか。最も適切なものを選べ。ただし、法人税は存在しないものとする。
ア 7%
イ 8%
ウ 22%
エ 24%
(設問2)
(設問1)のようにA社が資本構成を変化させたとき、法人税が存在する場合、資本構成変化後のA社の企業価値はいくらになるか。最も適切なものを選べ。ただし、法人税率は40%とする。
ア 9,960万円
イ 10,000万円
ウ 10,040万円
エ 10,800万円
2問続けてみましたが、もう思い出しましたか?
答えは次のページです。
あやふやになってきたら、この2問でしっかり定着させましょう。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!
では一次試験後にまたお会いしましょう!