【事例4】財務レバレッジの表の顔と裏の顔

皆さんこんにちは。
AAS東京代表の早坂です。

昨日財務レバレッジ効果の記事を書きましたので、関連する話として、今日は財務レバレッジについて少し語りたいと思います。

まず、ROEとROAの関係式を導けるでしょうか?

・ROE=利益/自己資本
・ROA=利益/総資本

ですね。

ここから、ROEとROAの関係式を作ると、

・ROE=ROA×(総資本/自己資本)

となります。

この(総資本/自己資本)のことを、財務レバレッジと言います

ん、この式どこかで見たことあるような・・・。
そうです。自己資本比率に似てますね。
しかし、ちょっとだけ違いがあります。
そう、分母と分子が逆なのです。
つまり、自己資本比率の逆数のことを「財務レバレッジ」と言うのです。

財務レバレッジとは、その式が示す通り、「自己資本の何倍の総資本を獲得出来ているか」を示すものです。

財務レバレッジが高いという状態は、自己資本よりも何倍もの総資本を獲得出来ている状況なので、一見好ましい状況に見えます。(表の顔)

しかし、「総資本=自己資本+負債」なので、財務レバレッジが高いという状態は、裏を返すと、「負債への依存度が高い」状態を示しているという側面もあります。(裏の顔)

ちなみに、財務レバレッジの公式は?と聞くと、

・ROE={ROA+負債比率(ROA-利子率)}×(1-税率)

と答える方が結構います。

残念!

これは、財務レバレッジの公式ではありません。
財務レバレッジ効果の公式です。

Name

紛らわしい・・・。

特に、公式に財務レバレッジが出てこないのに、財務レバレッジ効果というのが、実に紛らわしい・・・。

しかし、この公式、なんで財務レバレッジ効果というのかと言いますと、負債比率の部分がミソなのです。

先ほど言いました通り、財務レバレッジが高いというのは、裏を返すと、負債への依存度が高いということです。つまり、

財務レバレッジ(高)=負債比率(高)

ですので、上記の公式は負債比率の部分が財務レバレッジと同じことを示していると考えることが出来るのです。そのため、財務レバレッジ効果と言われます。

例えば、株主から財務レバレッジを高めて欲しいという要望があったとします(表の顔)。
しかし、この要望に応えることは、負債への依存度を高めて財務リスクを高めるということでもあります(裏の顔)。

うーん、どうしよう・・・

となった時に、この財務レバレッジ効果の公式が役に立ちます。
この財務レバレッジ効果の公式から考えると、

①「ROA-利子率」がプラスの場合
→株主の要望に応えて財務レバレッジ高めてOK(表の顔)

②「ROA-利子率」がマイナスの場合
→株主の要望にはお応えできません!(裏の顔)

という財務的な観点からの判断が出来ることになります。

それでは、今日はこの辺で。

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