読者の皆さま、こんにちは。AAS東京の渡邉大輔です。
毎回書いております通り、現在家業の承継に向けて研鑽中ですが、
その傍ら、個人事業として診断士活動もしております。
先日お仕事を頂き、とある企業にヒアリングに行ってまいりました。
縫製業で、学校服等をつくっている企業です。
その企業のお悩みは、「人材確保・育成」でした。
某学校服メーカーの下請けで縫製を行っており、長年の取引で顧客とは
強い信頼関係があるため、受注量や単価の交渉力は強い様です。
しかし、現在は人手不足で作業員が集まらない。中国からの技能実習生を受け入れているが、
戦力になるまで時間を要すため生産能力があがらず、赤字に陥っている、という状態です。
逆に言えば、人材を確保でき、生産能力が上がれば顧客に受注量の交渉ができ、
黒字に持っていけるということです。
さて、皆さんならこの企業にどの様な助言をしますでしょうか?
私の助言は「技能承継の円滑化」です。
スキルを持ったベテラン従業員が何名かいるので、その人たちの技能を承継できる体制をつくるのです。
では、ぐtどうやってやればよいのでしょうか?
1.スキルマップの作成
どの工程にどの様なスキルがあり、誰がどの程度の習熟度を持っているかを「見える化」したマップです。
2.技能マニュアルの作成
各技能についてマニュアルを作成します。ここでは外国人が多いので、文言ではなく図や写真を多用した
マニュアルつくりを提言します。
現在は社長自ら技術指導しているのですが、このマニュアルにより他の人でも簡単に指導でき、
教わる側にとっても分かりやすくなるようにします。
3.技能承継計画の作成
いつ、誰が、誰に、どのスキルを指導するのかを計画立てます。
それを本人にもフィードバックすることで、モチベーションアップにもつなげていきます。
4.多能工化の育成
OJTとジョブローテーションによって、全従業員に全スキルを習得させます。
そうすることで状況に応じてボトルネック工程の応援ができたり、欠員が出た場合でも
カバーすることができ、工場全体の生産能力の向上にもつながります。
本当は採用等他の施策にも踏み込んでいきたいのですが、今回は時間も限られているので上記に絞った
助言となりました。
さてさて、今年の中小企業白書のテーマは「事業承継」ですね。
このような技能承継の具体策についても問われる可能性はあるので、頭の片隅に入れておいて損はないと思います。
試験対策上は、概念だけ知識として押さえておけば良いかもしれません。
しかし、実際に診断に行く際には、スキルマップやマニュアル、技能承継計画を自分でつくれるようになるまで
ポイントを押さえて行く必要があります。
言うのは簡単ですが、やってみると本当に難しいです。本を読んだり、ネットで検索したりで様々なフォーマットを参考にして、診断先企業が使いやすいフォーマットに仕上げていきます。
地道な作業が多いですが、これによって診断先企業が喜んでくれたら診断士冥利に尽きます。