こんにちは。「関東多摩三郎」三段目の登場です。
今回、約40年前の関東家で行われていた皿洗いの中に、いかに中小企業診断士の1次試験で学習したことが含まれているか探ってみようと思います。勿論、かなりこじつけ感がありますが、そこはご容赦下さいませ。
1.役割分担
当時、私が小学生だった関東家の実家では既に食器洗い機なるものがあったのですが、週末の夕食後は何故か食器洗い機を使わず、両親と弟と自分の4人で食器洗いと片付けをしていました。恐らくその方が早く終わり、夜に見たいTV番組までに片付くからだったと思います(⇒リードタイムの短縮、納期優先の資源選択)。工程と作業場と役割分担は以下の通りです(⇒負荷計画)。
2.ゆすぎ(シンク2):父
3.皿拭き(水切りかご):多摩三郎
4.片付け(ワゴン):弟
2.多摩三郎の憂鬱
ここで問題が発生です。どの工程も同じ時間で進むので無く、多摩三郎が行う「皿拭き」がどうしても時間がかかります(⇒ボトルネック)。すると水切りかごに食器がたまり(⇒仕掛在庫)、酷い時はかごから食器が落ちそうになります。その時は前工程の母と父にスピードを落とす様にお願いしました(⇒ボトルネックへの従属化)。一方、後工程の弟は皿拭きの手伝いもせずワゴンの前でボーっと突っ立っています(⇒手待ち)。兄としては弟がボーっと突っ立っているのが許せませんでした。そこで多摩三郎はこのボトルネックをどうやって解消しようか考えました。
3.知恵比べ
先ずは、皿洗いのスピードを上げてみました(⇒処理速度向上)。しかし、皿洗いのスピードアップなんてたかが知れています。こちらが少し早くしたところですばしっこい弟は難なく追いついてしまいます。ここでもし、同じお皿を連続して拭いて重ねたら・・・複数枚重ねたお皿を一瞬にして片づけられ(⇒ロット処理)てしまう悔しさといったらありません。兄としては虚しさが募るだけでした。
次に、敢えて違う種類の食器をランダムに拭きました。これだと弟は1枚ずつしか、しまうことができません。こうすることで弟のボーっと突っ立っている時間を少しでも短くしようとしました(⇒平準化、ボトルネックへの従属化)。これは兄として一瞬溜飲が下がる思いがしました。しかし弟もそのうち知恵がついてきて、ランダムに拭いても直ぐにしまうのでなく、いずれ同じお皿が拭かれるのを待ってから片づけるようになりました。
今度は、前工程の父に皿拭きのお手伝いをお願いしました。しかし父が手伝いに廻る時は、逐次手から洗剤を落として自分の手を拭いて、はじめて手伝いに廻ります(⇒段取り替え)。結構手間ばかりかかりあまり効果的ではありませんでした。
4.解決
そこで更に多摩三郎は考えました。
「そうだっ、分担を変えればいいんだ!」
そこで、今度は以下の様な分担に変えました。
2.ゆすぎ(シンク2):父(変更なし)
3.皿拭き(水切りかご):弟、多摩三郎(サブ)
4.片付け(ワゴン):多摩三郎(メイン)
つまり、多摩三郎と弟を入れ替え、水切りかごにある食器のたまり具合に応じて多摩三郎も皿拭きに廻ることとしました(⇒多能工化)。片付けの人は手が濡れていないので、皿拭きに容易に廻ることができます。これは効果的でした。弟がボーっと突っ立っていることは無くなるだけでなく、全体の時間が短くなりました。ただ、ボーっとできない弟は、皿拭きを嫌がりました。兄としては何としてもこの分担にしたいのですが、なかなか説得が難しかったです。皿洗いの順番を変えるだけでお小遣いアップ(⇒金銭的インセンティブ)というわけにもいかず、当時はモチベーションを上げる(⇒内発的動機づけ)という発想も無く・・・結局どうしていたか今となっては思い出せませんでした。
5.まとめ
このように、日常の中にも中小企業診断士で学習した理論が多数詰まっています。こうした日常の出来事に診断士の理論を当てはめるクセをつけることで理解がより深まり、2次試験への応用能力が高まっていくものと思われます。
しかし逆はいけません。つまり、日常のご自身の経験則を2次試験の解決法に持ち込むこんではいけません。皿洗いの例でいえば、
「自分の経験では、皿拭きの処理速度を上げたところでたかが知れているから、工程内の処理速度を上げても無意味である」
といった発想をしていたら、全く点数が上がりません。これは極端な例ですが、大なり小なりこんな発想をしていないか要注意です。
6.エピローグ
話は今に戻ります。最近、時々ママが出かけ、保育園児の娘と二人で食事を作ったり片づけたりする機会が増えてきました。食後の後片付けは、娘が食器洗いとゆすぎを率先して担当し、多摩三郎が皿拭きと片付けを行います。水切りかごは無いのですが、ゆすいだ後のお皿が積み重なってくると娘が言い出しました。
「パパが拭くの遅いからお皿がたまるんだよっ!」