こんにちは。「関東多摩三郎」7段目の登場です。
一次試験も終了し、残すところ88日前後ですね。皆さまもう完全に、「2次モード」に切り替わりましたでしょうか?「2次モード」とは、「2次試験で、『いかに多くの得点をもぎ取るか』だけを考える」ことです。1次試験のことを気にしても、1次も2次も自力で点数が上がるわけではないので、時間のムダです。「今していることは本当に2次合格に必要なことなのか?」の正解はなかなか見い出せませんが、それだけを一生懸命考えて過ごしてください。
さて本日のテーマは、昨年のこの時期、事例Ⅰ~Ⅲの過去問とどう向き合ってきたか?について述べます。
やはり2次試験の学習に過去問解きを採り入れる方は大変多いと思います。しかし多摩三郎のように2次試験を何回も受験していると、「過去に同じ年度を何回も解いていると解答を覚えてしまい、本当に実力が付いたのかわからない。」と感じる方も多いと思います。多摩三郎も全く同じ思いで、最後までそのもやもやした気持ちを拭えませんでした。しかし合格イヤーは結果オールAだったこともあり、自分の学習法は全くの誤りでは無かったのでは実感しています。今回はその方法を一例としてご紹介します。
先ず、過去問を使った学習方法は大きく以下2種に分類されると思われます。
②帰納法:高得点答案に共通する解答要素を抽出し、自身の再現答案と比較・分析する。
そのうち、①は多くの方が実践されていると思われますのでここでは割愛し、②について述べていきます。
STEP1:高得点答案を収集する
直近3年くらいで結構ですので、ネットなどにある高得点答案を複数枚収集しましょう。高得点になればなるほど正解が集約される可能性が高まりますので、80点以上を集めるのが理想でしょう。見つからない場合は、70点以上まで範囲を広げても良いでしょう。そして、横軸を設問、縦軸に高得点順に各人の再現答案を並べてマトリックス状にします。
また自身の答案については、過去本番で解いた答案があればそれとの比較がベストです。(点数はともかく)本番で当時最善を尽くした答案の再現答案が本人の真の実力を正しく反映しています。しかし、以降解き直した答案はどうしても他の再現答案や模範解答の記憶で脚色されてしまい、真の実力の比較にならないからです。過去の自分の点数が低い答案と向き合うことはとても辛いことですが、ちゃんと向き合うことで心に刻まれ真の成長の糧となります。
STEP2:高得点答案と自身の本番での再現答案をふぞろいで採点する
高得点答案と自身の本番での再現答案をふぞろいで採点してみましょう。勿論、本番はふぞろいの採点基準で採点されてはいません。しかし特に最近のふぞろいも大変良く研究されていて、キーワードだけでなく「因果」も採点基準に盛り込まれていたりします。あくまでも印象ですが、ふぞろいでの得点と実際の得点にあまり差は無かったと思います。自分が通っているスクールでも採点基準があれば、それを活用しても構いません。要は、同じ基準の「モノサシ」を当ててみることで、「定量的に比較」することが肝です。
STEP3:高得点答案と自身の本番での再現答案を比較分析する
高得点答案の得点要素と自分の得点要素を比較します。そうすると、配点が高い論点が入っているか?論点が不足しているのか?一次知識が使えているか?因果で差がついているのか?キーワード数?など何で差がついているのかが見えてきます。特に、高得点答案が共通して入れている要素を自身が入れていなかったら、「なぜ皆入れているのだろう?」「なぜ自分は入れることができなかったのだろう?」「どうしたら良いのか?」など分析しましょう。この分析のフォーマットの一例が下の表です。(#いやあ、恥ずかしいものです。)
このフォーマットの主なポイントは以下3点です。
→STEP2から抽出します。この要素に浸ることがとても大切です。
②ふぞろい論点/解答例
→ここでは書籍からの引用は割愛しますが、配点の低い論点を並べても得点は上がらず、やはり、配点が高い論点をMECEに並べることが高得点に繋がる道、ということがみえてくるハズです。
③自分はどこがいけなかったかのか?/どうするべきか?
→ここはなるべく本番の問題用紙の余白に書かれたメモを検証してください。当時のご自身の思考プロセスの痕跡が残っている所です。ここにメスを入れてこそ前に進めるのです。
分析フォーマット例
設問 | 平成30年事例Ⅱ第2問(25点) B社は今後、新規宿泊客を増加させたいと考えている。そこで、B社のホームページや旅行サイトにB社の建物の外観や館内設備に関する情報を掲載したが、反応がいまひとつであった。B社はどのような自社情報を新たに掲載することによって、閲覧者の好意的な反応を獲得できるか。今後のメインターゲット層を明確にして、100字以内で述べよ。 |
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出題の趣旨 | 現在のB社に関するインターネット掲載情報の問題点を踏まえ、B社の新規宿泊客を増加させるために必要な新たな掲載情報を提案する能力を問う問題である。 | |
高得点者に共通する解答要素 | ・和の風情を求めるインバウンド客 6段落 ・海外でも名の知られた作家や芸術家(の作品) 2段落 ・和の風情がある苔むした庭園 2段落 ・器にこだわり、日本の朝を感じられる朝食 9段落 |
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ふぞろい論点 | (省略) | |
ふぞろい解答例 | (省略) | |
知識・解法 | 「施策はターゲットのニーズに合致したもの」 | |
再現答案 | 今後のメインターゲット層は、急増している 和の風情を求める2インバウンド客6である。自 社情報は、英語3で、①空港から直通バスで行 くアクセスガイド、②海外でも名の知られた 作家や芸術家の美術品情報3、を掲載すること。 |
得点14/25
累計34/50 |
AAS東京評価 | 「和の風情がある」苔むした庭園は、ターゲットとバッチリ合いますので、入れたいところでしたね。 | |
自分はどこがいけなかったのか? | 「和の風情を求める~」に対し、 ・「古風な和室」:青四角で囲んでいた、Q2とメモあり ・「和の風情がある苔むした庭園」:Q2とメモあり が使えなかった。 ⇒顧客のサイコ変数を活用できなかった。 |
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ではどうすれば良かったか? | ターゲットの一番のニーズはどこにあるのか?という視点を優先する。 |
この一連の作業でひとつの設問に取り組むだけで、確か3~5時間かかりました。それだけ時間があればもっと沢山解きたいと思われるかも知れません。しかし、今はまだ時間が十分にあります。今しかできない作業です。またこの作業をしておくことで、9月や10月に再度解き直した時に、自分の解答の方向性が高得点答案の方々とズレてきていないかチェックするにも活用できます。
こうした地道な作業を通じ、高得点答案の解答要素・プロセスを自分の頭にリロードし、合格へのレボリューションに繋げていってください。
P.S.
AASでは合格後の1月に合格者座談会を開催し、どのような勉強をしていたか共有する場があります。自分が参加した時はふぞろいを似た様な使い方をしている方が多く、ビックリした記憶があります。更に驚いたのは3/7の典茶漬けさんの、
「この時期、多年度生にお勧めしたい「敗因分析」とその進め方」
の記事です。ふぞろいで採点こそしていないものの、その手法は多摩三郎のとそっくりです。もとい、典茶漬けさんの方が洗練されています。多摩三郎がパクった!?のだろうと言われればそれまでですが、「合格する人は似た様なことをするものだなあ」と確信した瞬間でもありました。