皆さんこんにちは!
AAS東京の石渡一徳です。
1次試験も終わり、いよいよ2次試験が近づいてきましたね。
AAS東京では再現答案分析の結果を踏まえ、公開模試や直前対策の講座に活かすための準備をしています。
今日のブログでは、再現答案の分析から得た、高得点の答案の特徴を1つご紹介します。
それは「与件の活用が非常にうまい」ということです。
もう少し丁寧に言えば、解答で「主張」したいことの「根拠」としての活用が非常にうまいということです。
令和元年度 事例Ⅰ 第2問を例に特徴をご紹介しましょう。
本問では「企業風土」が問われました。
「A社長を中心とした新経営陣が改革に取り組むことになった高コスト体質の要因は、古い営業体質にあった。その背景にあるA社の企業風土とは、どのようなものであるか。」
この設問に対し、高得点の解答では、「風土」として
- 危機感がない風土
- チャレンジする意欲がない風土
- 保守的な風土
- 改革意識の乏しい風土
などを挙げられています。非常に妥当性が高く素晴らしいものばかりです。
ただ、今回ご紹介したいのは、この風土(結論)を指摘した「根拠」も添えている、ということです。
これが高得点答案の大きな特徴です。
先に言ってしまうと、根拠としては、
- 厳しい規制に守られた参入障壁の高い業界であった
という与件文第3段落の内容を引用しています。このような根拠をしっかり記述することで、経営環境分析の精度の高さが伝わり、点数にもつながっていくはずです。
では、この「厳しい規制に守られた参入障壁の高い業界であった」という内容はどのように導いたのでしょうか。おそらく以下のようなプロセスではないでしょうか。
- 設問文にある「高コスト体質」の内容から与件第5段落にリンク
- 第5段落には「企業風土」に関する内容がないため、他の段落を探しにいく
- 第4段落の「古き良き時代を知っている古参社員たちがそう簡単に受け入れるはずもなかった。」を「企業風土」として見つける。
〜〜ここで終わらせないのがポイントです!〜〜
- 「『古き良き時代』ってどういう時代?」という思考のもと、さらに与件を探しにいく
- 第3段落「かつて、厳しい規制に守られた参入障壁の高い業界であった。その上、(中略)彼らを主要顧客としていたA社の売上は右肩上がりで」の内容を「古き良き時代」と解釈してリンク
いかがでしょうか。
本問では、第5段落の内容が企業風土ではないという判断をする点も大切でしたが、上記のように、「『古き良き時代』ってどういう時代?」という思考が働いたかが重要なポイントです。
こうして思考を働かせて能動的に与件を読みに行くことで、「厳しい規制に守られた参入障壁の高い業界であった」という根拠が見つかり、結果的に「危機感がない風土」や「チャレンジする意欲がない風土」という妥当性の高い解答が導けるわけですね。
以上、今回は高得点答案に見られる与件の活用についてご紹介しました。
与件の内容を解答に活用するためには、与件を効果的に読み進めることが大切です。
こちらのブログでも「読む」プロセスの精度を高めるためのトレーニングを紹介していますので参考になれば幸いです。