皆さん、こんにちは。AAS東京の金森大輔です。
中部地方の中小企業支援機関で働く、4人の息子を持つ41歳の診断士です。
1次試験の結果も発表され、2次試験もいよいよ近付いてまいりました。
各予備校が開催する模試をすでに受けた方、これから予定している方なども多いと思います。
小学校高学年の長男は現在塾に通っており、毎週のようにテストがあるのですが、その度に口が酸っぱくなるほど伝えているのが
テストの結果に一喜一憂するな。
間違える問題があって当たり前。
むしろ自分の足りていないところをチェックするためにテストがある。
なぜ分からなかったか、つまずいてしまったかをよく考えよう。
改善策を見つけ、結果的にその問題が解けるようになれば、その分成長できるチャンスなんだ。
間違いはチャンス!
です。長男が現時点で納得してくれているかは分かりませんが、これからも4人の息子たちに言い続けることになると思います。
もちろん模試で良い点が取れた方はそれを自信に繋げればよいと思いますが、悪い点を取った人もクヨクヨせずにしっかり原因分析をして、スキルアップのチャンスと捉えましょう。
私も本試験2週間前に受験したAAS模試では「曖昧な知識」「題意外し」「思い込み解答」「与件と設問のリンク外し」といったミスのオンパレードでしたが、「本番では2度と繰り返すまい」とふんどしを締め直すことができました。
ちなみにAASの模試はまだ申し込めますよ。間違いのチャンスを掴んでみてはいかがでしょうか。
さて、4ヶ月以上に渡ってお届けした事例Ⅳ「経営指標選択」シリーズも最終回です。第5回のテーマは「記述対策」です。
事例Ⅳにおいても記述式問題というのは様々な形で出題されます。その際には、事例Ⅰ~Ⅲと同様に、
- 設問文に書かれた制約条件を外さない
- 与件文から該当箇所を抜き出す
- 知識×与件文
- 「因」「果」を意識して書く ※このあたりを詳しくお知りになりたい方はコチラ
といった鉄則を押さえることに変わりありません。
今の受験生の方たちは知らない方も多いかと思いますが、「経営指標選択」の記述式問題においては、H16ーH22年までは定番の出題形式がありました。
(選択した経営指標の)問題点について60字以内で述べよ
というもので、下記のおなじみの解答用紙に見覚えのある方もいるかもしれません。
このタイプの記述問題の解答骨子は下記の通りとなります。
主語(設問文)+原因(与件文)+結果(与件勘定科目)+○○性が低い/悪い(知識)
具体的には、このような書き方になります。
【解答例】※経営指標選択=売上総利益率の場合
問題点は、円安の影響により製品の原材料となる木材の輸入価格が高騰したため、売上原価が高く、収益性が低いことである。(57字)
- 主語(設問文)
問題点は、 - 原因(与件文)
円安の影響により製品の原材料となる木材の輸入価格が高騰したため、 - 結果(与件勘定科目)
売上原価が高く - ○○性が低い/悪い(知識)
収益性が低いことである。
①③④については経営指標選択さえできればほぼ自動的に埋まりますので、結局②を与件文からいかに上手に抜き出すかがキモにとなります。
但し、ここ数年の設問は変化しており、直近3年は下記の通り。
年度 | 設問 | 文字数 |
R01年 | 財政状態および経営成績について前期と比較した場合の特徴 | 50字 |
H30年 | 財政状態および経営成績について同業他社と比較して優れている点と課題 | 50字 |
H29年 | 財政状態および経営成績について同業他社と比較した場合の特徴 | 40字 |
特徴としては
- 「財政状態」「経営成績」の切り口
①3つの切り口でも書きましたが、
財政状態=安全性
経営成績=総合収益性(利益率×回転率) と捉えましょう。 - 3つの指標について1つの文章で答えさせる
- 解答文字数が短い
といったことが挙げられます。
文字数が少ないため編集能力が問われますが、基本的には
原因(与件文、与件勘定科目)×結果(財政状態・経営成績)
といった書き方を心掛ければよいでしょう。
【R01】解答例
非効率な在庫保有で財政状態は悪化し、不動産効率は良いが建材価格高騰や配送費増により経営成績も悪化。(49字)
(原因)非効率な在庫保有で(結果)財政状態は悪化し、
(原因)不動産効率は良いが建材価格高騰や配送費増により(結果)経営成績も悪化
【H30】解答例
自己資本が厚く財政状態は優れており、合併で増えた固定資産の活用と利益率向上による経営成績改善が課題。(50字)
(原因)自己資本が厚く(結果)財政状態は優れており
(原因)合併で増えた固定資産の活用と利益率向上による(結果)経営成績改善が課題
【H29】解答例
負債が多いため財政状態が悪く、効率性は高いが低料金・高コストのため経営成績も悪い。(40字)
(原因)負債が多いため(結果)財政状態が悪く、
(原因)効率性は高いが低料金・高コストのため(結果)経営成績も悪い
解答の「型」を持つことで、細かな体裁に悩むことなく解答骨子を組み立てられますので、結果的に「考える」→「書く」工程における時間短縮につながります。
その分余裕ができた時間を「読む」→「考える」工程に充てられますので、与件文から正確な根拠を探し当てやすくなります。
とはいえ、実際の試験では、そう単純にはあてはまらないケースも出てくるでしょう。
それでも基本的な「型」をベースに、柔軟にアレンジしていこうという姿勢でいれば、焦らずに本番に取り組めると思います。