こんにちは。AAS東京卒業生の盆栽イチ朗です。
本日は、2次試験を約1か月後に控え、「合格から遠ざかる解答」と題して、事例企業に向き合うにあたり避けたいことについて綴ります。事例問題ではなく、敢えて事例企業と書いたのは、2次試験の80分間は、事例企業の社長の声を傾聴し、診断・助言をする場であると考えているからなのです。私の幾多もあるしくじり解答の経験を踏まえ、この時期だから今一度確認しておきたい大原則とも言える3点に関して以下にお伝えいたします。
1.問われたことに答えていない
設問文で問われたことに素直に答える。そんなことは当たり前ではないか、と思うのですが、わかっていても意外とできていないことがあります。例えば、「要因と対策」を述べよという題意に対して「要因」しか答えていないなど。
そしてもうひとつ、設問文に書かれている制約条件に合致しない解答を書いてしまうこともあります。例えば、「生産管理面以外で」という制約条件に対して「生産管理」のことを解答してしまうなど。
模試でも本試でも、平常と異なる雰囲気や緊張感からか、80分間という時間制限の中、あれこれ考えている間にいつしか問われていないことを解答してしまうこともたびたび経験してきました。問われたことに素直に答える、本番で外したくないことです。
2.与件から離れてしまう
解答には、与件に書かれている事例企業の状況や特徴を表すキーワードなどを引用することが多々あります。設問によっては与件の関連する段落に着目し、与件の記述の一部を解答に引用するというように、国語的に解答することで対応できる場合もあります。
その一方、1次知識を盛り込みながら解答する場合もありますが、このときに与件の記述、すなわち事例企業の状況、を無視して一般論で解答してしまうことがあります。ある設問に対する答案を見て、「これはA社への助言だな」とわからないといけないと思うのです。
与件に書かれていることが事実であり、事実に基づいて、分析、診断、助言をすることが診断士に求められています。2次筆記試験では、その力を試されるのです。与件に寄り添うことは、事例企業に寄り添うこと、とも言えます。
3.社長の思いをスルーする
実際の試験上では、前述の1項、2項と比べると多少重要度が下がるかもしれませんが、大事な論点であると考えています。与件にはしばしば社長の思いや経営理念などの記述が書かれています。特に、与件の初めの方の段落や最終段落あたりに記述されていることが多いと思います。第4問や第5問あたりに出てくる今後の戦略に関する助言を行う際には、社長の思いや経営理念に留意することになります。
私のしくじりは、与件の社長の思いや経営理念にマーキングするものの解答を考える際にはあまり意識しなかったというものです。その結果、助言の方向性が出題者の意図とずれてしまうのです。例えば、社長が「従業員は宝」と力説しているのに、安易な人員削減など提案できないですよね。実はこの論点、実務補習を経験したときに常に意識して取り組むことになりました。社長の思いを実現させる方向で助言をすること、忘れたくないことです。
以上、私のしくじり解答の経験にもとづく合格から遠ざかる解答の話です。メモの仕方やマーカーの使い方など、テクニカルなことも大事だと思いますが、この時期にこのような原点に戻ることも大事ではないかと思います。対策については敢えて記述していません。文字数の関係もありますが、やはり自分で考え抜いて自分の方法を確立することが大事だと考えるからです。
それでは今週も皆様にとって素敵な1週間になりますように。