こんにちは。AAS卒業生の典茶漬け(のりちゃづけ)です。
2次試験の結果発表まであと数日。
「今年はもう諦めた。」などと公言しつつも、奇跡が起こることへの期待を捨てきれない。
仕事や趣味の用事をいっぱい詰め込んで、試験のことなど考える余裕がない状況にしつつも、心のどこかでやはり気にしている。
・・・毎年そんな気持ちでこの時期を過ごしていたのを思い出します。
今更何をしようが変わらない結果を気にしても仕方がないので、ここは前向きに試験結果発表後のことを考えてみたいと思います。
結果発表後、合格された方は面接準備で考える余地もないかもしれませんが、そうでなかった方々には、否が応でも大きな決断を迫られることになると思います。今後も中小企業診断士の資格取得を目指して学習を続けるかどうか、の決断です。
この大事な決断を来年に持ち越すことなく、今年のうちに気持ちを整理することができれば、比較的心穏やかに年末年始を迎えられるかもしれません。
気持ちを整理するための「Yes/Noチャート」
「“気持ちの整理“って簡単に言うけど、具体的にどうすりゃいいのよ?」、という方のために、次のような「Yes/Noチャート」を用意しました。
「はい(Yes)/いいえ(No)」で回答して辿り着いた結果(ABCDE)ごとに、「これからすべきこと」について、僭越ながらアドバイスさせていただきます。
このチャートの出番がないことが一番ですが、万が一、資格への挑戦を継続するか否かで迷われた際に、少しでも手助けとなれば幸いです。
Aに辿り着いた方へ
「資格取得の目的を再確認し、大まかな学習方針・計画を立てる」
来年も資格取得に向けて迷いなく取り組めそうですね。このまま高いモチベーションを保てるよう、資格取得の目的や取得後のイメージを再確認してみてはいかがでしょうか。
試験での資格取得を目指される方は早速、今後の学習における方針(何を変えるか)と、それに沿った学習計画(いつ頃までに何をするか)をざっくりと立て、スタートダッシュで差をつけてください。また、2次試験の得点が開示された際は必ず「敗因分析」を行い、自分の弱みを見極めた上で具体的な対策を立てることをお勧めします。
1次試験を受験される方は、久々に過去問題集の紐を解き、以前学んだ知識をどれだけ覚えているかをチェックしてみましょう。1次試験向け学習に振り分ける時間を見積もる際の参考になります。さらに、教材の選択や絞り込みについて考えるのも良いかもしれません。
Bに辿り着いた方へ
「自分なりのゴールを設定する」
中小企業診断士の2次試験は「諦めなければいつかは受かる」と言われることがあります。合格者は基本的に諦めなかった人たちなので、結果的にはそう見えるのかもしれません。
しかし、諦めないだけで受かるのであれば、今頃この世は診断士で溢れていることでしょう。合格者がいる一方で、挑戦することを諦め、ひっそりと診断士の道から遠ざかっていった人たちが大勢いるというのが現実です。
「続けていればいつか・・・!」を愚直に信じて受かるケースもあるかもしれませんが、それはその人が地道に努力した結果、諦める前に合格基準に達しただけのこと。
つまり言い換えれば、「諦めなければいつかは受かる。ただし、人による。」
“人による”が示唆することとして私が最も重要だと思うのは、「ゴールを持っているか否か」という点です。
「XX歳になるまでは挑戦を続ける」
・・・など、努力を続ける上での着地点(ゴール)や期限を設定しておけば、そこに向かって集中して取り組むことができます。そして、集中力の高い学習で得られた達成感はモチベーションの維持・向上、ひいては学習の成果にプラスの影響をもたらすでしょう。
また、ゴールの設定はいわば自分との約束です。約束を守り通せたのであれば、どのような結果であろうとも納得して受け入れることができそうです。
緩くてもいいので、自分なりのゴールを設定してみてはいかがでしょうか。
ゴールを設定できた!という方は、チャートの結果「A」のアドバイスをご覧ください。
Cに辿り着いた方へ
「自分の選択に自信を持つ」
中小企業診断士を目指すことが自分にとってベストな道だと心の底から思えなければ、これから先、途中で続けることが苦しくなってしまうかもしれません。そうなると、学習への意欲や集中力も低下し、最悪の場合は受験への意志すら損なわれる恐れがあります。言うまでもなく、中途半端な努力は得るものが少ない、人生の浪費です。
もし少しでも迷いがあるのなら、本格的な学習を始める前に今一度、自分の目的を叶える”手段”として中小企業診断士の資格取得がベストかどうか、別の選択肢も踏まえて突き詰めてみてはいかがでしょうか。
選択肢(手段)は何も資格取得に留まりません。大学やビジネススクールへの通学(受講)、部署異動、赴任・出向、転職、独立・起業・・・。自分の常識やしがらみに囚われず、幅広くアイデアを展開してみてください。
比較する際の評価項目にも様々なものが考えられると思います。将来やりたい事やなりたい自分との関連性、達成難易度、達成までにかかるコスト、達成で得られるメリット、有効期間と維持コスト、などなど。
個人的には、「現職との関連性(今すぐ活かせるか)」も重視すべきだと考えています。資格を取ったからといってすぐに自分のポジションや周囲の環境を変えられるわけではないからです。
広い視野で比較検討した結果、やはり中小企業診断士がベストだと思われた方は、チャート内の質問⑦へ進んでください。
Dに辿り着いた方へ
「埋没コスト(サンクコスト)の呪縛から解放される」
「せっかくここまで頑張ったのだから・・・」
「今までにこれだけ投資したのだから・・・」
元多年度生としてその気持ちはよ~~~くわかります。
しかし、過去に費やした時間やお金は回収不可能な「埋没コスト(サンクコスト)」であるという事を、どうか思い出して下さい。
そして、事例4の設備投資の意思決定などでは、「現在や未来における意思決定においては、過去の埋没コストは考慮せず、未来の差額原価で判断する。」と、学ばれたかと思います。
・・・とはいえ、自分の事となると簡単には割り切れないものがあると思います。よしんば、時間やお金についてはもういいとしても、学習の成果だけはなんとか目に見える形にしたいという気持ちは、そう簡単には拭いきれませんよね。
しかし、今後の挑戦を継続するか否かの判断をする上では、それらの“埋没コストへのしがらみ(サンクコストの呪縛)”から、一旦離れなくてはなりません。
幸い、診断士を目指す過程で得た幅広い分野の知識と論理的思考力は、仕事のみならず様々な場面で長期的に役立つものです。そこで、費やしたコストは十分元がとれている(もしくは今後必ずとれる)、と考えてみてはいかがでしょうか。
そして、気持ちを新たに下記の3ポイントを整理することをお勧めします。
b. 資格取得までにかかるコスト×資格取得できない(不合格)可能性
c. 機会コスト(選択により諦めることとなった別の機会から得られるはずの利益)
そして、合理的な判断としては、「 a > b + c 」になる場合のみ資格取得への挑戦を続ける、となります。
まだピンとこない、もしくは数値化することが難しいということであれば、次の問いを自分自身に向けてみると良いでしょう。
いづれにせよ、埋没コストの概念を認識しても尚、来年も挑戦することが妥当だと思う方は、チャート内の質問⑥へ進んで下さい。
Eに辿り着いた方へ
「過去の努力を労い、視点をアップデートする」
これまでの学習や受験への挑戦、大変お疲れ様でした。まずは自分自身の努力を十分に労ってください。受験できるまで漕ぎつけただけでも相当なチャレンジです。
そもそも「続けない」と決めるのも勇気がいることです。これまでの努力が無駄になってしまうかもという“埋没コスト(サンクコスト)の呪縛”や自分自身のプライド、応援してくれた人たちへの申し訳なさ・・・。それらを振り払っての勇気ある決断は、過去に囚われ惰性で続けるよりもよっぽど建設的です。
今後はしばらくお休みされるもよし、別の手段で目的達成を試みるもよし、全く新しい道を探すもよし。
もし新たな挑戦を探すなら、自分の気持ちを踏まえた上で、時代の価値観やニーズに合わせて求められる能力や資格等に関する情報をアップデートしてはいかがでしょうか。
新たな視点でこの先を見据えて、やはり中小企業診断士がいいなと思われたのなら、またいつでも戻ってきてください。
まずは、ここをご覧の受験生の皆様が満足・納得できる結果を受け取られる事を一番に祈っています。