こんにちは、くろいのです。今回で3度目の投稿となります。
前回の投稿は実務補習の真っただ中でした。現在はその実務補習を無事に完遂し、久々に時間や心に余裕の取れる日々を過ごしております。
協会への登録まで完了しているため、あとは官報に掲載されることで中小企業診断士を名乗れるようになります。例年と同じであれば4月中旬頃には掲載されるようですが、少し待ちどおしい思いです。
テーマに入る前に、先日の日刊工業新聞でとある記事が話題になっていたため、少しふれておこうと思います。内容としては、経済産業省・中小企業庁が現状の中小企業診断士の制度を見直しに乗り出すという記事です。
具体的には、①1次試験の合格者、②経済学や財務などの科目合格者、③更新研修のうち専門知識に関する研修を終えた受講者、に対して新たに名称を付与することを検討しているそうです。背景には、資格の知名度が低く専門性が示しにくいことや、中小企業診断士の活動範囲が首都圏に集中している現状を是正する狙いがあるようです。今年度から導入が進むようですので、近いうちに正式なアナウンスが出るものと思われます。
これから1次試験を受けようとしている方々にとっては、間違いなくモチベーション向上につながることでしょう。私は今年度に中小企業診断士になろうとしていますが、そうした自分の立場にとって機会となるか脅威となるか、しばらくは注視していく必要があると考えています。
個人的にはどんな名称になるのかは非常に気になるところで、紛らわしい名前が増えて混乱してしまうようなことだけは無いようにしてほしいと感じています。
さて本題として、今回は1次試験で思うこと/思っていたことを改めて私なりに振り返ってみたいと思います。
1次試験は「思考の矯正器具」のようなもの
この記事をご覧の方々にとってはご存じの内容とは思いますが、1次試験は分野の異なる7科目のテストを突破する必要があります。こうした広い分野を学ぶ事により、ある種の思考の矯正を図ることができたと考えています。
初回の投稿でも自己紹介させていただいた通り、現在私はBtoB向けのサービス事業会社でいわゆる社内SEとして勤務していますが、前職では受託開発をメインとしたIT企業でプログラマーとして働いていました。
前職では、発注元の企業から要望をプログラミングによっていかに早く安く実現できるか、というようなことばかりを考えていました。社内のコミュニケーションについても、自分がやろうとしていることに関係する同僚と認識を合わせることが中心でした。
その状態から現在の会社に転職した結果、同じようにモノを作る上でも、様々な部署との関わりが必要となりました。すると、それまでのような同業の人間にのみ通じるものではなく、様々なバックグラウンドを持つ方々とのコミュニケーションが必要となりました。
こうして、当時の私はコミュニケーションギャップに苛まされると共に、自分の思考の偏りがあることを自覚しました。このことは中小企業診断士を受験するに至った大きな要因の一つとなりました。
同じような職種でずっと働いていると、どうしても思考や判断基準に偏りが生じてしまうものだと思います。1次試験で経営にまつわる広く浅い知識を勉強したことで、徐々に他部署の方々が言っていることの根底にある考え方が分かるようになりました。それによって、仕事がスムーズに手戻りなく進められるケースが増えたように思います。
さらに自分の考え方もより俯瞰的になってきたことを実感しています。これは、いわば視覚異常をメガネで矯正することに似ているな、と感じています。
特に、幅広いジャンルを広く浅く学ぶ事によって、自分がこれまで関わりのなかった分野についてたくさんの「無知の知」を獲得できました。これによって、合格したらもっと掘り下げて学んでみたいテーマが増えましたし、さらなるキャリアアップの道筋も見えやすくなりました。
また、これは私に限るかもしれませんが、「他業種の人が知っているであろう知識水準」についても知れる機会になったと考えています。
例えば、財務会計が得意な人からすれば、一次試験の財務会計はそれほど苦労しないのだろうとと思います。私も経営情報システムについては比較的楽に対応できました。一方で、全く関わりのなかった分野についてはかなり苦労しました。中小企業診断士試験は、客観的に助言・提案を行う能力を測る国家資格として、出題範囲や難易度のバランスもきちんと吟味されているはずでしょう。そうした客観的水準を再認識できたことで、知らず知らずのうちに相手に通じない専門用語を使ってしまうようなことを防げているのではないか、と感じています。
以上、現在私が1次試験について思っていることを述べさせていただきました。現在1次試験に取り組まれている方々にとって、少しでもプラスになれば幸いです。
ここまでご覧いただきありがとうございました。