中小企業診断士の勉強を頑張っている皆さま、こんにちは。「Team小鵜」と申します。
第3回目の執筆となります。今回は、2次試験の事例企業を俯瞰して、“重要度”を明確にイメージするために、私が効果的と感じた考え方やトレーニングについて書かせていただきます。
それでは、今回もよろしくお願いします。
「強み」は多い方がいい?
事例企業の「強み」「弱み」「機会」「脅威」を問うSWOT分析のような環境分析問題って、2次試験で定番ですよね。
このような環境分析問題の模範解答を見ると、「あれ、強みはこれだけ?」と思い、別の模範解答を見ると、「こっちは強みが多いなぁ……」みたいな経験って、皆さまはないでしょうか。
「強み」をどれだけ書いていいのかわからなくなり混乱……。
そして、「強み」なんだから多いほうがいいはず。私の解答ではできる限り多くの強みを羅列しておこう。私は細部まで見逃さない! 学習初期の私はそんな考え方をしていました。
ロバさんに伝える「脅威」は!?
突然ですが、それでは本気で想像してみてください。
あなたは鳥の「鵜」です。そして、親友の小さな「ロバ」さんが、山を越えて向こう村まで歩いて行かなくてはならなくなりました。空を飛べるあなたは、空から向こう村までの道のりを俯瞰すると、そこにはいろいろな危険が……。
出発する前のロバさんに伝えなきゃ!
そんなとき、ロバさんになにを伝えたらいいでしょうか。早く出発しないと日が暮れてしまいます。出発までの時間は限られてる。
どうでしょうか。本気で想像してみてください。
きっと、最も重要なこと、すなわち最も危険なことから伝えていくと思います。
まず、「あの谷には狂暴な狼の群れがいるので、絶対に近づかないように!」とか。
ただ、「あの谷」ではロバさんに伝わっていないようだったら、谷の場所などを具体的に、ロバさんが危険を回避できるように詳しく伝えると思います。
そして、最も危険なことが伝わったら、その次に危険なことを伝える。
時間が限られているので、ロバさんが既に知っていることは省く。そして、伝わったことは、それ以上は時間をかけずに早く出発できるようにする。
まとめると次のような感じでしょうか。
- ロバさんにとって最も重要なことから言う。重要なので伝わるまでしっかり言う。伝わったら時間節約のためにそれ以上は言わない。
- 最も重要なことが伝わったら、その次に重要なことを言う。伝わるまで言う。これを繰り返し時間内で言える数の重要なことを言う。
- ロバさんにとって不要なことは省く。既に知っていることは時間節約のために言わない。
ポイントは、「1.重要なことから 2.伝わるように 3.不要なことは省いて」、そんなイメージでしょうか。
試されていることはなにか!?
これは、2次試験の環境分析で「脅威」を問われたときの考え方と同じだと思います。
中小企業診断士に求められている能力はなんでしょうか。おそらく、クライアントに最も効果のある助言をすることだと思います。それは、環境分析のような診断問題でも原則は同じだと思います。
先ほどの例だと、ロバさんの目的は、狼などの「脅威」を回避し無事に早く向こう村へ行くこと。そのために最も効果的な助言を、出発までの限られた時間のなかで行うこと。例えば、刺さったら足が痛いぐらいの草木のとげの「脅威」に詳しく時間をかけて伝えて、噛まれたら死んでしまう狼の「脅威」を伝えずに出発してしまったら、たいへんなことになりますよね。
そうです。2次試験では問題によって制約がいろいろと変わります。例えば、解答の「文字数」が増減し量の制約がついたり、設問文で「最大の○○」のように数の制約がついたり、「○○に対する」のように範囲の制約がついたり……。これは、あの手この手で、事例企業を正しく診ているか、“重要度”を明確にイメージできているか、そして、伝える相手に対して効果的な助言としようとしているか、そのようなことを試されている気がします。
1.重要なことから 2.伝わるように 3.不要なことは省いて
では、私が効果的と感じたトレーニングを共有させていただきます。今回は「強み」を例にしますが、「弱み」「機会」「脅威」などでも同様です。
それでは、まず準備として、一つの与件文を細部までよくよく読み込み、考えられる全ての「強み」を書き出してみてください。
(※細部まで読む方法は、第2回目の執筆「細部まで正しく診るための奥の手!?」をご覧ください)
そして、以下の3つのトレーニングをやってみてください。
- 順位づけ(書き出した全ての「強み」に対し、1位、2位、3位のように優先度を順位づけする)
- 骨格・補足説明(一つの「強み」をできる限り短く骨格だけにし、そこに複数の補足をつけて説明する)
- 範囲制限(「○○以外での」などの制約を加えて範囲を制限し、範囲外の「強み」を省く)
このときに、先ほどの例を思い出しながら、「1.重要なことから 2.伝わるように 3.不要なことは省いて」、このことを意識してみてください。
例えば、解答の文字数が変われば「強み」をどれだけ書けるかが変わってきますが、「①順位づけ」トレーニングにより、“各強みの重要度”(順番)をイメージできるようになり、「1.重要なことから」書くことができるはず。
また、伝える相手や設定が変われば「強み」をどのくらい詳しく説明すべきかが変わってきますが、「②骨格・補足説明」トレーニングにより、“一つの強みの中での重要度”(構造)をイメージできるようになり、状況に合わせて補足説明の数などを調整することで、「2.伝わるように」書くことができるはず。
同じく、伝える相手や設定が変われば「強み」をどの範囲まで言うべきか、言わないべきかが変わってきますが、「③範囲制限」トレーニングにより、“伝える相手に対しての重要度”(範囲)をイメージできるようになり、相手にとって既知のことやその影響範囲を意識することで、「3.不要なことは省いて」書くことができるはず。
どうでしょうか。ちょっと気分転換したいとき、通常の勉強法で行き詰ったとき、なんだか混乱してきたとき、などなど……。少し時間をけてじっくりやってみてください。実際に解答を書かなくても、頭のなかでイメージするだけでも、きっと“重要度”の考え方を理解する一助になると思います。
そして、「1.重要なことから 2.伝わるように 3.不要なことは省いて」、この意識で“重要度”のイメージが頭のなかに明確にできてくると、時間をかければ、どんな状況にでも対応できるようになるはずです。
まだ2次試験まで時間があり、速く60点の解答を書く試験テクニックよりも、本質的な力を鍛えることに時間を使える今の時期にお勧めの奥の手!? です。
診断士は陸海空を自由自在!?
- 「陸」に降りて接近して見るように、一つひとつ細部まで見逃さない。
- 「空」から俯瞰して見るように、全体像と各関係性・重要度を把握する。
- 「海」に潜り水の流れを読むように、過去から現在、未来への変化の流れを推測する。
この3視点を持ち合わせ、各々で得た情報を分析・整理して現状を正しく把握する。
2次試験には、そして中小企業診断士には、そんな陸海空を自由自在に行き来しながら正しく観る能力が重要と感じています。
(※詳細は第1回目の執筆「診断士は陸海空を自由自在!?」をご覧ください)
今回は、「空」から俯瞰して見るように、全体像と各関係性・重要度を把握する。そのなかの“重要度”を明確にイメージするためのトレーニングについて書いてみました。
次回以降、「空」から見るトレーニングの続編、そして「海」に潜るトレーニングについても、私が効果的と感じた方法を共有させていただきます。
(※「陸」からのトレーニングは、第2回目の執筆「細部まで正しく診るための奥の手!?」をご覧ください)
皆さまを応援しています!
改めまして、中小企業診断士の勉強をしている皆さま、中小企業診断士の勉強をすることで得られる重要度をイメージする力は、実務にもとても役立ちます。日々のコミュニケーションが円滑になるはずです。
そんな価値ある勉強をしている皆さまを、休日返上で頑張っている皆さまを、私「Team小鵜」は心から応援しています。
最後までお読みいただきありがとうございます。皆さまに多幸ありますように!