関連性を明確にイメージするための奥の手!?

中小企業診断士の勉強を頑張っている皆さま、こんにちは。「Team小鵜」です。

第4回目の執筆となります。今回も引き続き、2次試験の勉強で私が効果的と感じた奥の手!? について書かせていただきます。

今回は、事例企業を俯瞰して“関連性”を明確にイメージするためのトレーニングです。それではよろしくお願いします。

違和感は気のせい?

なにか違和感が……。

皆さまは、仕事のプレゼンや報告事項などを聞いて、このように感じた経験はないでしょうか。

例えば、「AだったものがBとなりました。その理由はCです」。このような説明を受けたとき、AとBは明確な事実。理路整然と説明している。そしてCも事実。誠意もある。でも、なにか違和感が……。

そんな感覚です。

中小企業診断士の勉強をする前の私は、このような違和感をおぼえても、「気のせいかな……」と思い、それ以上は考えずに飲みこんでしまっていました。

診断士の責任範囲は?

ところで、中小企業診断士の責任範囲はどこからどこまででしょうか。例えば税理士や司法書士などには明確な範囲があると思いますが、診断士はどうでしょうか。

ずばり、中小企業診断士の責任範囲は、中小企業の経営に関するすべてのこと。すべてに対しての診断と助言です。

医師に例えると総合診察をするのが診断士。患者の全身に対して少しでもおかしいところがないか、医師として“違和感”があるところがないか、すべての範囲をモレなく多面的に診察する。そして、必要に応じて専門医に繋ぐ。

そうです。診断士は、患者の全身に対して、すなわちクライアントの経営すべてに対して責任を持つ立場。そこに範囲外はなく、すべての範囲を診て多面的に捉え、診断士として正しく“違和感”をみつけること。そしてその違和感の原因を特定し正しく対策に繋ぐこと。

診断士には、そして2次試験には、このような心構えと能力が重要と感じています。

違和感の正体はなにか?

それでは、私が効果的と感じたトレーニングを共有いたします。まず、過去問など2次試験の問題(事例Ⅳ以外)を一事例、80分の制限時間内で解いてみてください。

そして、“関連性”を問われている設問、例えば「事象Aが事象Bに変化した。その理由はなにか?」、このような系統の設問を一つピックアップしてください。

その設問を題材に、以下の3つの方法で解答をチェックしながら“違和感”の正体を突き止めていきたいと思います。なお、ここでは「理由」を例にしますが、「要因」「根拠」など他の“関連性”でも考え方は同様です。

  1. 「多」の追求(「理由」が他にないか追求する。できる限り多くの「理由」を書き出す。各「理由」に比重をつける)
  2. 「面」の追求(「理由」の「面」を変更する。異なる切り口やフレームワークに当てはめる。その際の見え方の違いを追求する)
  3. 「繋」の追求(「理由」の繋がりをドキュメンタリー化する。客観的に納得できるまで追求する)

少し時間をかけてこれらをおこなうことで“関連性”の考え方を理解する助けとなるはずです。そして、“関連性”を明確にイメージできるようになると、“違和感”とその正体に気づくことができ、方向性が定まり、大きな勘違いを防ぐことができるようになるはずです。

「多」の追求

それでは、まずはじめは、「多」の追求です。自分の解答を見て、そこに書いてある「理由」以外に、他に「理由」がないかを探してみてください。与件文をよくよく読みなおし、考えられるすべての「理由」を書き出してみてください。

そして、各「理由」に対し比重をつけてみてください。今回の場合、事象Bに変化させた影響度の比重です。「理由1:50%」、「理由2:30%」、「理由3:15%」、「理由4:5%」のような感じで。

どうでしょうか。初めに自分が書いた解答に理由のモレはないでしょうか。そして、理由の各比重は当初のイメージと変わりないでしょうか。

学習初期の私は、「理由2:30%」と「理由3:15%」を正確に書いているが「理由1:50%」が抜けていたり…… 「理由2:30%」を80%のようにフォーカスしていたり…… そんなことがよくありました。

この場合、理由1も理由2も事実のため間違いではないのです。ただし、総合診断をする診断士としては、全範囲に責任を持つ多面的診断としては明らかに不適切。

そうです。このようなことがおきていると、なにか“違和感”を発するのでしょう。

このとき、書いた解答だけを見ていると、そこに間違いはないためミスに気がつき辛いもの。

なにか“違和感”をおぼえたとき、まずは関連性を多面的に診て「多」にモレがないか、そして各「多」の比重が適切かを見直してみてください。

因みに、これが実務のプレゼンだと、ポジショントークのような心象を受けるのかもしれないですね。

「面」の追求

次は、「面」の追求です。「理由」を多面的に診て、「多」には問題がないけれど“違和感”があるときは、「面」に問題がある可能性があります。

試しに、「理由」を、「生産面」「営業面」のように機能別の「面」で区分けしていた場合、各商品を切り口とした「商品面」など、異なる「面」で区分けし直してみてください。この例の場合、各商品で区分けすることで、特定の商品に問題があった場合はそこが浮かび上がってくるはずです。

そうなんです。事実に変わりはなくても、「面」を変えると見えてくる事実があります。逆に、適切でない「面」で区分けしてしまうと、適切でないフレームワークに当てはめてしまうと、事実が見えなくなることがあります。

そうです。このようなことがおきているときも、“違和感”を発するのでしょう。

私の場合、ある程度勉強が進んできて、切り口やフレームワークを覚えたときにこのようなミスをよく犯しました。自分の得意なフレームワークに飛びついてしまう。そして、自信満々に解答を書いてしまう……。

書いた解答だけを形式的に見ていると、フレームワーク自体は間違っていない、そして当てはめた事実にも間違いがない。そんな場合はそのミスになかなか気がつくことができない……。

これを解消するトレーニングとして効果的だったのが、同じ事実(事象)に対して異なる切り口やフレームワークを当てはめてみること。そしてその際に、どの切り口やフレームワークだとなにが見えてくるか、なにが見えなくなるか、なにが割り切れるのか、なにが割り切れなくなるか、そのようなことを時間をかけて体感してみることです。

そうすると、各々の切り口やフレームワークとそれらに適した状況とを紐づけてイメージできるようになってきます。状況に合っていないフレームワークには、特有の“違和感”をおぼえるようになるはず。そして、状況に合った適切なフレームワークを選択できるようになるはず。

そうなってこそ、切り口やフレームワークが自分のものとなり、強い味方になるはずです。

因みに、これが実務の会議などだと、形式に沿っていて“論理的”には見えるため、その決議は採択となってしまうかもです。これって、とても怖いことですよね。

このような場合に“違和感”を拾い、その違和感の原因を特定し、そして適切に修正などの助言をする。そんな診断士になれたらいいですね。

「繋」の追求

そして最後は、「繋」の追求です。「多」にも「面」にも問題がないけれど、まだ“違和感”があるときは、「繋」(繋がり)に問題があるかもしれません。

一つの「面」に区分けした「理由」の中身(詳細)を診ると、複数の事項が繋がって一つの理由を組み立てていることがあります。例えば、「理由1」が、「理由1-1」→「理由1-2」→「理由1-3」と繋がって成立している場合です。

このときに、その繋がりが正しいかをチェックしていきましょう。

これに効果的だったトレーニングは、頭のなかでドキュメンタリー化すること。テレビのドキュメンタリー番組のように映像とナレーション、テロップなどを想像していくことです。

そして、そのドキュメンタリー番組のみで「理由」が納得できるか、第三者視点で冷静に視聴し確かめることです。

もし納得できないときは、そこには、事実の積み重ねではなく、結論ありきの“つじつま合わせ”がある可能性があります。

たとえば、「理由1-1」→「理由1-2」→「理由1-3」でないと成立しない事柄において、「理由1-1」→「理由1-3」と書き「理由1-2」が抜けていたり…… 「理由1-1」→「理由1-3」→「理由1-2」と順番が誤っていたり……。

そうです。このようなことがおきているときも、きっと“違和感”を発するのでしょう。

私の場合、勉強を重ねて問題の形式に慣れてきたときに、与件文に書いてある事実ではなく、今までの問題から類推し結論ありきで思考してしまい、このようなミスをよく犯しました。

また、“つじつま合わせ”ではなく、自分ではわかっているために他の人もわかるだろうと思ってしまい、「理由1-1」→「理由1-3」と「理由1-2」を飛ばして書いてしまうことも。

そのため、なにか自分の解答に“違和感”をおぼえたとき、その「繋」(繋がり)が客観的な視点で納得できるか、このことをチェックすることをお勧めします。

因みに、これが実務だと、説明に不慣れな現場の職人さんなどが説明した場合、「理由1-1」→「理由1-2」→「理由1-3」をちゃんとわかっているのだけど、「理由1-2」をうまく言語化できず飛ばしてしまった。そのために、内容は正しいにも関わらず“論理的”に却下されてしまう。そんな場合がありそうです。これって、とても切ないですよね。

そのようなとき、「理由1-2」の抜けを特定し適切に言語化し補てんする。しっかりと現場をサポートする。そんな診断士になれたらいいですね。

診断士は陸海空を自由自在!?

  • 「陸」に降りて接近して見るように、一つひとつ細部まで見逃さない。
  • 「空」から俯瞰して見るように、全体像と各関係性・重要度を把握する。
  • 「海」に潜り水の流れを読むように、過去から現在、未来への変化の流れを推測する。

この3視点を持ち合わせ、各々で得た情報を分析・整理して現状を正しく把握する。

2次試験には、そして中小企業診断士には、そんな陸海空を自由自在に行き来しながら正しく観る能力が重要と感じています。
(※詳細は第1回目の執筆「診断士は陸海空を自由自在!?」をご覧ください)

今回は、「空」から俯瞰して見るように、全体像と各関係性・重要度を把握する。そのなかの“関連性”を明確にイメージするためのトレーニングについて書いてみました。

次回以降、「海」に潜るトレーニングについても、私が効果的と感じた方法を共有させていただきます。
(※「陸」からのトレーニングは、第2回目の執筆「細部まで正しく診るための奥の手!?」をご覧ください)
(※「空」からのトレーニングの前半は、第3回目の執筆「重要度を明確にイメージするための奥の手!?」をご覧ください)

皆さまを応援しています!

改めまして、中小企業診断士の勉強をしている皆さま、中小企業診断士の勉強をすることで得られる関連性をイメージする力は、実務でもとても役立ちます。仕事の推進力が格段に増すはずです。

そんな価値ある勉強をしている皆さまを、本質をつかもうと本気で向き合っている皆さまを、私「Team小鵜」は心から応援しています。

最後までお読みいただきありがとうございます。皆さまに多幸ありますように!

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