1.はじめに
こんにちは。「富田(とみた)」です。2回目の投稿になります。よろしくお願いします。
先月は「事例Ⅰ」についてお話ししましたが、今月は「事例Ⅲ」についてお話ししたいと思います。
先月の投稿記事はこちら→【二次試験】「因果関係」をしっかり意識する
2.事例Ⅲの問題構成
事例Ⅲは生産・技術の事例で、例年、下記のとおり、大問が4問ないし5問構成となっています。
第1問 外部または内部環境分析(強み・弱み)の問題
第2問 生産戦略の問題①
第3問 生産戦略の問題②
第4問 情報の問題
第5問 成長戦略の問題
※ 4問構成の場合は、第3問もしくは第4問の省略。
3.私の事例Ⅲの解き方
筆者の事例Ⅲの解き方は、以下の手順のとおりです。
※事例Ⅲが5問構成の場合とします。
①「解答始め」の合図とともに、ホッチキスを取り外す。(問題は破らない。)
②表紙のA3の紙を使う。(裏面の白紙の方)
③左半分には、左上に第1問、左下に第5問の解答を下書きする。
④右半分には、上から第2問、第3問、第4問を三等分して下書きする。
⑤前半40分は与件を読み、解答要素をA3の紙に書く。
⑥後半40分で、まず第5問と第1問を解く。(解く順番は、第5問から第1問の順。)
⑦次に、第2問から第4問のうち、簡単な問題から難しい問題の順に解く。
(情報問題が生産戦略の中では比較的簡単なので、情報問題から解く。)
⑧見直しをして、80分終了
4.A3の下書き用紙を作る
上記3.の①~④については、下の写真のとおりです。
・第1問:赤、第2問:青、第3問:黄、第4問:緑、第5問:橙 のマーカーで色分け。
・筆者は、30cmの折りたたみ定規を使用。
5.解答作成(第1問と第5問の成長戦略の問題)
先に、第1問と第5問の成長戦略の問題の解答を考えます。
(例)
①【製品面の強み】強みの源泉であるOJTや資格奨励制度により培った技術力と一貫生産体制、
②【市場面の強み】他の中小企業が集積する工業団地に立地し、他の中小企業との連携力、
の場合、
(1)【製品面の強み】の「①技術力と一貫生産体制」を活用し、展示会に参加した中小企業に、「既存製品」を販売し、「新規取引先」を開拓する「新市場開拓戦略」。
(2)【市場面の強み】の「②他の中小企業との連携力」を活用し、新製品を欲する「既存取引先」に、連携により、「新製品」を開発する「新製品開発戦略」
第5問の解答の方向性としては、以下の3点が挙げられます。
① 新製品開発戦略 か、
② 新市場開拓戦略 か、
③ 新製品開発戦略 と 新市場開拓戦略 の 両方か。
多くの受験生は、事例Ⅲというと、どうしても生産戦略の問題に注力して解こうという意識が働きがちです。
しかしながら、後述のとおり、生産戦略の問題は総じて難しい場合が多く、成長戦略で得点を固めることが得策です。
6.解答作成(第2問から第4問の生産戦略の問題)
次に、第2問から第4問の生産戦略の問題の解答を考えます。
成長戦略の問題と比べ、生産戦略の問題は、問題点や課題は与件から抽出できても、対応策や改善策は、生産管理の詳しい知識がないと解答が難しいです。
ですので、まずは、与件から問題点や課題を抽出することに注力し、ここである程度の得点を固めます。
筆者の与件から問題点を抽出する方法は、以下のとおりです。
① 納期遅延、過剰在庫、生産現場の混乱などの悪いことが書かれている箇所や、与件文の「〇〇ができていない」という箇所に、青のボールペンでアンダーラインを引く。
※個人的には、事例Ⅲの問題点を探すのが、4事例の中でたくさんある作業のうち、一番簡単な作業だと思います。(出題者がはっきりと悪いと書いてくれている。)
② アンダーラインの右横に「✕」印を書く。
③ 問題点の対応策を打った設問の色のマーカーで、✕を〇で囲む。(対応し忘れのポカヨケ)
④ 問題点と課題の違い
・問題点は「解決する。」:「過剰在庫」を解決する。
・課題は「達成する。」:「適正在庫化」を図る。(達成するの言い換え)
(平成30年度事例Ⅲの与件文より引用)
もし、具体的な対応策や改善策が思いつかなくても、問題点の裏返しが対応策ですので、結論部分を固め、あとは与件の言葉を使いながら、一次試験の運営管理(生産管理)で学習した知識を思い出しながら、妥当な対応策や改善策を考えましょう。
7.解答の「切り分け」の難しさ
しかしながら、生産戦略の問題で、一番注意しなければならないことは、「解答の切り分け」です。第4問が情報問題の場合は、そことの切り分けはある程度スムーズにいくと思いますが、第2問と第3問の切り分けが難しいです。
オーソドックスな考え方としては、設問文で「生産管理」が問われた場合、「生産計画」と「生産統制」のセットを、どちらの設問で解答すべきかと考え、それ以外の設問では別の切り口で対応策や改善策を考える方が妥当です。
※個人的に「解答の切り分け」が難しい事例は、「事例Ⅱ」と「事例Ⅲ」だと思います。(事例Ⅰは、ⅡやⅢほど切り分けは難しくない。)
8.解答用紙に「直接書く」のは禁物
次に注意しなければならないことは、以下の点です。
・前述の下書き用紙に、解答要素だけでも箇条書きでいいので、解答骨子をあらかじめ考えてから正書する。
各設問の字数が各100字ずつの事例Ⅰならばまだしも、解答字数が140字や160字の設問がある事例Ⅲでは、いきなり解答用紙に書くと、途中でロジックが破綻する危険性があります。字数の多さから、多少冗長的になってもいいので、このあたりではこんなことを書くといったような、解答の青写真をあらかじめ描いた方が、ベターな解答が書けます。
9.結び
筆者は、令和4年度の事例Ⅲは67点でした。決して高得点ではありませんでしたが、令和5年度の二次試験の事例Ⅲで、60点以上を目指す受験生の方がおられましたら、参考にしていただければ幸いです。
今月もお読みいただきありがとうございました。来月もよろしくお願いします。
(了)