こんにちは。AAS東京の三木です。
季節は梅雨、うっとうしい季節ですが、春に植えた農作物にとっては豊作の秋に向けて成長するために必要な恵みの雨でもあります。受験生の皆さんにも、不要不急な外出を控えて学習に専念できる恵みの季節となればいいですね。
平成30年度の事例Ⅱについて、「与件文をじっくりと読み込んでみよう」というシリーズをお送りしてきました。
最後に、B社とX市のモデルについて深読みします。
シリーズをご覧になった方は、各回で与件文に沿ったような写真やイラストが挿入されていることに気がついていたのではないかと思います。
X市として「埼玉県川越市(一番街・倉造りの街並み)」、名刹・古刹として「中院」や「喜多院」、そしてB社として「村松屋旅館」さんを参照しました。
事例ⅡでX市のモデルとして川越市が登場するのは、スポーツ用品店(平成21年度・小江戸川越ハーフマラソン)、しょうゆメーカー(平成28年度・江戸時代の面影をしのばせる伝統的な街並み)に続いて何と3回目になるのではないかと思われます。きっと出題者にゆかりの深い土地なのでしょうね。
事例問題の作成にあたって、参照したモデル企業があるのではないかという議論は昔からあり、本試験が終わるとネット上で話題になったりします。
ここで深読みしたいのは、モデル企業とB社との差異です。
そういう視点で与件文を読むと、最寄り駅とB社の位置関係に違いがありました。
○B社:最寄り駅までは公共バスを利用して20分強かかる
○モデル企業:市役所前バス停(川越駅から公共バスで8分)から徒歩1分
B社を駅から遠ざけたことにどのような意図があるのかを想像することは、出題者が想定した解答の方向性を読むことにつながるのではないでしょうか。
ところで、本試験中にこのような企業モデルについて想いを馳せることは、マイナスの影響が大きいと思います。理由は、与件と設問だけから解答を導く思考の邪魔になってしまうからです。
80分の中にそんな余裕はないと思いますが、自分のクライアントらしき企業がA社のモデルとして出題されていることに気がついてしまったかつての受験生仲間は、それからどうにも気になってしまい冷静な対応ができず、優秀な方だったのですがその年は残念ながら涙を呑んだという悪しき実例もあります。
事例問題の深読みは、あくまでも模範解答を思考するために、事後的に行いましょうね。