実務補習テキストを深読み③ 「中小企業診断士として述べる」(事例Ⅲ)

こんにちは。AAS東京の三木です。

公開模試の採点に取り組んでいますが、設問文や与件文を読み切れずに失点している解答が目につきます。中小企業診断士として事例問題を読むとはどういうことなのか、一度じっくりと考えてみませんか。

私が2次試験学習の最強のテキストだと思う「中小企業診断士 実務補習テキスト」のエッセンスを、過去問と連動させながら学ぶシリーズの第3弾・事例Ⅲ編です。
2次合格をめざす受験生の皆さんが事例問題を理解する一助になれば幸甚です。

 

⓪予告編はコチラ
①事例Ⅰ編はコチラ
②事例Ⅱ編はコチラ

 

中小企業診断士」というフレーズが、事例Ⅰでは設問文に、事例Ⅱでは与件文に登場する意味について考えてきましたが、事例Ⅲではどうでしょうか?

事例Ⅲでは与件文にこのフレーズはなく、設問文に登場します。毎年ではありませんが、最終問題にだけ中小企業診断士として」という制約条件がつくことがあります。

 

過去問で確認してみましょう。

令和元年度 事例Ⅲ
※与件、設問ともフレーズなし
平成30年度 事例Ⅲ 第5問
今後の戦略について、中小企業診断士として・・助言せよ。
平成29年度 事例Ⅲ
※与件、設問ともフレーズなし
平成28年度 事例Ⅲ 第4問
この計画について、中小企業診断士としてどのような新事業を提案するか、・・延べよ。
平成27年度 事例Ⅲ
※与件、設問ともフレーズなし
平成26年度 事例Ⅲ 第4問
この方針を実現するためには、中小企業診断士としてどのような提案を行うか、・・述べよ。
平成25年度 事例Ⅲ
※与件、設問ともフレーズなし
平成24年度 事例Ⅲ 第4問
それを克服して収益性を高めるためには、あなたは中小企業診断士としてどのような方法を提案するか、・・述べよ。
平成23年度 事例Ⅲ
※与件、設問ともフレーズなし
平成22年度 事例Ⅲ 第4問
C社の技術を生かした独自の経営の方向性と対応策について、中小企業診断士としてどのようなアドバイスをするか、・・述べよ。
平成21年度 事例Ⅲ
※与件、設問ともフレーズなし

事例Ⅲでは、C社の長期的な経営課題への対応策(成長戦略)を提案する場合に、特に中小企業診断士としての思考プロセスを活用することが求められているということがわかります。
事例ⅠやⅡと同様に、中小企業診診断協会が発行している実務補習テキストの内容に照らし合わせてみましょう。

第Ⅱ章 5項 実務補習における「診断」「計画」のプロセス
【第1プロセス】経営者ニーズ確認、経営実態把握
【第2プロセス】経営環境分析
【第3プロセス】経営資源分析
【第4プロセス】経営課題抽出(SWOT分析)
【第5プロセス】全体最適調整
【第6プロセス】改善提言・改革提言
【第7プロセス】経営診断報告

 

戦略の提案は、実務補習における「診断」「計画」のプロセスの、【第6プロセス】である改善・改革提案に該当します。そして、提案するために重要なのが【第4プロセス】である経営課題抽出(SWOT分析)ですね。

SWOT分析については、“Ⅲ.実習時に必要なスキル”の中で詳しく説明があり、クロス分析による戦略オプションの選択肢が紹介されています。

・強みによって機会を最大限に活用する積極的攻勢戦略
・強みによって脅威を最小化するピンチをチャンスに変える戦略
・弱みがあることで機会を逃さないようにする弱点補強戦略
・弱みと脅威によって最悪の結果となることを回避する防衛戦略

このように「中小企業診断士は、戦略的な思考に基づいて診断・助言しなければならない」というのが「中小企業診断士」というフレーズのもうひとつの意味ではないでしょうか。

事例問題にも、戦略的思考を活用する意識で取り組みたいですね。

 

※これまでは1年おきに成長戦略が出題される傾向にありましたが、令和元年度の最終問題は「中小企業診断士」という制約条件なしに成長戦略が問われました。
果たして出題傾向の変化なのでしょうか?
今年の最終問題はどうなる?

 

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