1次試験を受験した皆様、お疲れ様でした。結果はどうだったでしょうか? 今回残念な結果に終わってしまった方も、科目合格の制度を利用して次回、頑張って下さい。
ちょうど今年度の1次試験の日に、筆者スローパンダは実務補習2回目だったのです。そこで実習メンバーや先生の話を伺うと、戦略的に科目合格を利用して勉強のリソースを集中している方も結構いるようでした(スローパンダはそういう賢い試験対策が苦手です。パンダなので)。
さて、とはいえ、ただでさえ簡単ではない1次試験を突破した後、さらに難関の2次試験を控えた時期となります。各所で言われていますが、2次試験は相対評価と言われています。なんにも考えず、得意科目以外、全部にリソースを振り分けてしまうスローパンダのようなのんき者から、上述の戦略家まで、とにかく1次試験を突破する方法を持った受験生での上位20%争いなので、数値以上の厳しさがあると思います。
実際、そろそろAASの直前模試も始まる頃だと思います。スローパンダは昨年、オンライン受験を2回申し込みましたが、結果は散々でした。あれで合格するとは本人も、先生方も思わなかったのではないでしょうか(安定しやすいはずの事例4すら不安定ですし)。
2次試験直前期に1ヶ月で逆転した方法
では、AASの模試で下の方だった筆者が、模試も終わり、試験本番前1ヶ月にやったことをご紹介します。
身元を隠した体験談には要注意
ネット上の体験談には、1ヶ月前には規則正しい生活を心がけ、仕上げを意識……みたいな話が多くあります。たぶん、その人たちはそれで実際合格したのだと思うので、それはそれで貴重な意見です。
しかし、中小企業診断士試験の2次試験というのは、働いていて実務とまったくの無関係ということは通常ありません。つまり、ただ仕事をしているだけで診断士試験の勉強になるはずです。とはいえ、その程度が一緒ということはありません。
たとえば、もともと診断士事務所で見習いとして働いている人と、学校の先生をしている人であれば、会社組織運営にかぎっていえば、診断士事務所の見習いの方がただ働いているだけで得られるものは多いと思います。それ以外の、対人スキルや指導方法、基礎的な勉強の力は学校の先生の方が高まると思います。要は、外部環境によって育つ内部資源の種類が異なるということですね。
ここで覚えておきたいのは、中小企業診断士を登録してもみんながみんなコンサルタント業に就く訳ではないということです。
「プロコン診断士」が47.0%、「企業内診断士」が47.4%となってほぼ拮抗している。
*本アンケート調査では以下の1~3の方々を「プロコン診断士」、4~8の方々を「企業内診断士」と表現している(以下同じ)。
詳しくは引用元の表をみていただくとして、独立の割合でいうと、もっと少ないですね。
なぜかというと、別にコンサルタントにならなくても、社内で手当てをもらえたり人事評価にプラスになったりというような、比較的大きな会社や部署に勤めているから、ということが推測できます(実務補習の先生も仰っていることではありますが)。
こういう、「資格を取れば確実にプラスになるよ」という方はおそらく、最初に書いたように規則正しい生活で、コンディションを整えて行くだけでも日々から十分な学びも得られるのかもしれません。他に診断士資格をもっている先輩や同僚という外部環境があるわけですから。
ただ、スローパンダは「中小企業診断士試験受かりました!」といっても、「なにそれ?」みたいな顔をされる中小企業勤務なので、残念ながらそんな外部環境は期待できませんでした。
よって、「この人と自分の環境は違う」と割り切って、最後の最後まであがき続けました。
とはいえ、いまさら過去問も無駄な気がする
そもそも筆者スローパンダは、学生時代から過去問研究というものが、大っ嫌いだったというのはあります。診断士試験では、他に教材も勉強方法も分からなかったので過去問とAASの新作をやっていましたが。
ただ1ヶ月前に過去問やっても、無駄な気がしますよね。というか、いい加減飽き飽きしていました。夢の中で事例の文章を延々と読んでいるくらいには読み込んでいるので、模範解答に近いものも暗記されてしまっています。その状態で無理に過去問に取り組むくらいなら、先に記載した通りコンディションを整えるのがいいですよね。
……もし、1ヶ月前になっても、過去問を覚えるほどやりきれていない人は、そのまま過去問に取り組めばいいように思います。
そこで事前に手を出しやすいのは事例4の勉強です。
AASの受講生であれば、かなり難易度高めの計算系問題が配付されていると思いますので、一通りやりなおしましょう。1週間に2周くらいはできると思います。余力があればイケカコもやっておきましょう。これもAASの受講生であれば、たぶん診断士試験に関係する重要な章を教わっているはずです。本来、診断士用のテキストではないので、頭からやると間違いなく挫折するので……。
ちなみに、実務補習に参加していると、やはり銀行員の方も結構いらっしゃるようですが、そういった方は必要ない場合もあるかもしれません。これも先に記載した環境の違いですね。
弱みの抽出と知識の補充、困ったときの穴埋めを用意する
もうひとつ、スローパンダが「もうだめだ~」と深酒しながらネットサーフィンしていたら(禁酒して勉強という話もありますが、1年目はともかく2年目は前日まで飲んでいました)見つけた方法としては、過去問の設問文だけを抽出して、与件文なしで解答を作成するという訓練がありました。
ただ、1ヶ月前に自分用の問題集を作るのも、ちょっと難しいなというのが本音だと思います。そうしたところ、EBA中小企業診断士スクールというところがやっている、DMMオンラインサロンがあることを知りました。
本来は、AASと同じスクールだと思うのですが、与件文なしでひたすら設問文が毎日投稿されます。さらに、解答に盛り込むといい解答もついているので、自分で準備しなくてもすぐに取りかかれました。
筆者のころの運営方法だと、途中で参加しても過去に出題されたお題を見ることができました。
なので、毎日1問と言わず、毎日30問くらいやっていました。本番まで1ヶ月切っていたのでそのくらいの分量溜まっていたんですね。
AASは、解に論理的な正しさを重視する傾向にあるように思います。各設問内でWhy So, So Whatの論理性を重視しつつ、事例全体でMECEな論理ピラミッドが出来上がっているようなイメージでしょうか。スローパンダもその解答方法で試験を突破しています(なんなら、実務補習でもこれを意識しているので文章が書きやすいです)。
一方で、他のスクールの解法としてはとにかく考えられる要素を、設問の解答の中に、丸数字区切りの箇条書きに近いような形で大量に流しこむというようなやり方もあるようです。
どちらが優れているとか、試験合格率がいいとかは分からないですが、スローパンダの場合は適切な知識を引っ張り出してくるのが苦手でした。知ってはいるのに解答に明記できないという問題ですね。
ただ、100字訓練の場合、どちらかというと箇条書きに近い形で回答例(というかポイント)を示してくれているので、知識を表現する文言・語彙の補充に役立ちました。
また、文字数制限が試験本番を意識されているのでAAS方式解答を指定文字数で書ききる訓練にもなります。この訓練のお陰だけとは言いませんが、スローパンダの場合は、本番試験でも文字数を意識した下書きなどは一切なく、一発書きで過不足なしで書けています。そういう、記述力の強化にも短時間で取り組めます。
まとめ
- 直前期だからって勉強の手を止めるか止めないかは人それぞれ
- 環境が違うから体験談はできるだけ自分の環境に近そうな人を参考にしよう
- 計算問題は最後まで勉強の効果が出やすい
- 与件文を読む訓練もいいけど、アウトプットに集中した訓練も大事
最後に、ご紹介したオンラインサロンですが、説明文にもある通り、一度脱会すると再入会できないようです。
そのため、心配性のスローパンダは、2次の面接試験が終わり、合格発表がでるまでずーっと加入しっぱなしにしていました。ちょっとお金がもったいなかった気もしますが、もし落ちていたとしても、また利用する価値があるという確信があったので契約を続けていました。
筆者の実感としては、そのくらい効果が見込めていたので、直前期に何か勉強を追加したい方は、やってみるといいかもしれません。